1月9日

「朝〜、朝だよ〜」

祐一「・・・・・・」

「朝ご飯食べて学校いくよ〜」

祐一「・・・・・」

時計「なお、このメッセージは3秒後に・・」

カチッ!

祐一「危ないところだった・・・」

祐一「おかげでばっちり目が覚めたぞ・・・」

ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!

くぐもった警報が寝ぼけた頭に響く。

警報は、隣の部屋から聞こえていた。

隣は名雪の部屋・・・。

チュドオオオオオオオオオオオンッ!

謎の爆破音が聞こえてくる。

どうやら、俺はこれから先も寝坊だけはせずに済みそうだった。

 

北川「おい、人がいるぞ」

4時間目のことだった。

祐一「人くらいいるだろ、学校なんだから」

北川「いや、そうじゃなくて」

と、窓の外を見ると、女の子が一人、ぽつんと立っていた。

・・・・・・・ウエイトレス姿で。

祐一「見なかったことにしよう」

女の子「そんなこと言う人、嫌いです」

祐一「おわっ!?」

慌てて辺りを見まわしたが、誰もいない。

祐一「気のせいか・・・・?」

女の子「起きないから、奇跡って言うんですよ」

祐一「・・・・・・・・・・」

やがて、4時間目が終わる。

祐一「俺、ちょっと急用を思い出した」席を立って、走り出す。

北川「おい、まだ儀式が残ってるぞ!」

祐一「すぐに戻るっ」

・・・・・・儀式ってなんの事だろう。

外に出ると、雪の絨毯の中に、一人の少女が立っていた。

少女「・・・・・・・・」昨日と同じように、頭に雪を積もらせたまま。

少女「・・・・・あ」雪にも決して引けを取らないくらい白い肌の小柄なウエイトレス姿の女の子。

少女「どうしたんですか?こんなところで」

祐一「中庭にゲーム本編の少し深い内容のネタバレを俺の頭の中に電波で送ってくる子がいたから見に来たんだ」

少女「そうなんですか?ご苦労様です」

少女「でも、電波なら屋上ですよ」

祐一「それは違うゲームだ」

少女「漢字1文字ですか?」

祐一「それ以上言うなっ!」

言ったらいろんな意味でヤバイ。

もはやウエイトレス姿のことはどうでもよかった。

 

祐一「・・・なんの病気なんだ?」

少女「・・・たいした病気じゃないですよ」

少女「・・・実は」

少女「風邪です」

祐一「・・・・・・」

祐一「なんだ、てっきり名前も覚えられないような病気で治しようも無くて次の誕生日の2月1日まで生きられないなんて言うかと思った」

少女「・・・・・そんなこと言う人、嫌いです」

 

栞「それと、私のことは栞で良いですよ」

祐一「分かった、俺のことも遠慮なくお兄ちゃんと呼んでいいぞ」

栞「・・・・良いんですか?」

祐一「・・お、おう(あれ、おかしいな?本編と違うぞ)」

栞「お兄ちゃんっ!」

祐一「・・・・・・・・・・」やばい。色んな意味でやばい。

 

帰り道。

名雪「・・・・ひどいよ、祐一」

祐一「・・・・悪かった。お詫びになんかおごってやるから」

名雪「ホント?」

祐一「・・・あまり高いものはダメだぞ。寿司とか」

名雪「・・・・じゃあ、闇鍋」

祐一「・・・・・・・は?」

名雪「闇鍋」

祐一「いや、闇鍋ってお前、第一イチゴサンデーが一番好きなんじゃなかったか?」

名雪「闇鍋」

祐一「・・・・・・・」

名雪「闇鍋」

祐一「・・・・・分かった」

名雪「わ。やったあ」心底嬉しそうに喜ぶ名雪。

名雪「近くに300円の美味しい闇鍋屋さんがあるんだよ」

この場合、高いほうが良い気がする・・・・・・。そもそも闇鍋って美味いのか?

 

夜。

ごそごそ・・・・・

祐一「・・・・・?」

がさごそ・・・・・

物音がする。それもかなり大きい音。

巨大ゴキブリでも這っているのだろうか?

祐一(・・・・・・・)

夜な夜な水瀬家の台所を這いまわる無数の巨大ゴキブリたち。

その1匹がタワシ大ほどあり、水周りを蠢く真っ黒な壁に仕立て上げている。

祐一「ぞわーーっ!想像しただけで寒気が増すぞ・・・)

祐一(・・・って、ほんとは真琴なんだけどな)これぐらい分かる。

俺は、台所の方へ行ってみた。

声「あうーっ・・・」声が聞こえてくる。

声「お腹すいたよぉ・・・」

声「簡単に食べられそうなもの・・・・見当たらないよぉ・・」

真琴が、冷蔵庫をごそごそと漁っている。

・・・どうせ明日から夜な夜ないたずらされるんだ。いまのうちに先手を打っとくか。

俺はそぉっと背後から近づいていくと、すでに放り出されていたコンニャクを拾い上げ、それを袋から取り出して真琴の首筋に向けて構える。

そして、パッと手を放す。

ぐにょ。

・・・・・・

声「きゃああああああああああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーッッ!!」

ゴロゴロゴロゴロコロゴロゴローーーーーーッ!

ズドンッッ! ヒューーン・・・・ガシャアァァァーーーーンッッ!

真琴をやっつけた!

祐一(ちょっと待てっ!)

パララパッパッパー!パララパッパッパー!パララパッパッパー!

・・・・・なんか違う音がしてるぞ。

祐一はレベルが上がった!

祐一はレベルが上がった!

祐一はレベルが上がった!

おいっ!レベルって何だっ!!

1月09日 完。

評:今度は栞を壊しました・・・・はぁ(爆)まぁ、ウエイトレスファンには受けたかな?(核爆)あとは鍋ネタ第2弾です。第3弾もいつかやりたいです。