1月16日

「朝〜、朝だよ〜」

「朝ご飯食べて学校行くよ〜」

朝から脱力するような目覚ましに起こされて、カーテンを開けてベッドから這い出る。

「早く起きないと祐一食べるよ〜」

祐一「うおっ!?」

「朝〜、朝だよ〜」

祐一「・・・・・・・・・」

祐一「いつのまに新メッセージが・・・」

★  ★  ★  ★  ★

祐一「おはようござ・・・おわっ!」

秋子「おはようございます、祐一さん」

食卓に顔を出すなり、机の上に異様な物体を見つけて驚いたのだが、それに対する秋子さんの対応はいつも通りだった。

相変わらず周りに流されない人である。

声「うにゅ・・」

祐一「おわっ!」

突然、机の上の謎の物体がのそっと動き始めた。

名雪「・・・おはようございます〜」

謎の物体が挨拶をする。

名雪「・・・・くー」

謎の物体は、寝ていた。

祐一「・・・なんだ、名雪か」

机の上に突っ伏していたので長い髪の毛が散らばって異様な物体に見えたのだ。

名雪「・・・・くー」

じゅわじゅわじゅわ・・・・。

祐一「ん?」

なんか、名雪の髪が伸びているような・・・。

じゅわじゅわじゅわ・・・・。

祐一「って、思いっきり髪伸びてる!」

祐一「しかし、俺よりも先に起きてるなんて珍しいな」

いや、だから冷静に考えるなって、俺!

秋子「わたしが起きるときもここにいましたよ」

秋子さんも冷静過ぎ。

名雪「・・・・くー」

 

祐一「さて、どうやって名雪を起こしてやろうか・・・」

よし、ここは作戦2だな。

俺はおもむろに自分のトーストを掴んで、上に普段はほとんどつけることのないイチゴジャムを塗りたくる。

そして、食う。

名雪「・・・イチゴジャム・・・」

思ったとおり、反応があった。

祐一「今日のイチゴジャムは特にうまいな」

名雪「・・・イチゴジャム〜」

ぱくっ!

祐一「え?」

名雪「イチゴジャム〜」

がぶがぶ。

祐一「ぐおおぉっ!」

見ると、名雪が俺の手ごとトーストを食べていた。

名雪「ふぃひふぉふゃむ〜」

祐一「おいっ!俺の手ごと食うなっ!」

がぶっ!

祐一「ぐあっ!」

名雪の格闘は、しばらく続いた。

 

祐一「お母さん、娘さんの頭にジャムを塗っても良いですか?」

秋子「ダメですよ、食べ物を粗末にしたら」

秋子「でも、このジャムなら了承」

そう言って出してきたのは・・・・・・例のジャムだった。

祐一「え?ほ、本当に良いんですか?」

秋子「了承」

祐一「・・・・・・・・」

秋子「了承」

試しに、食わせてみる。

名雪「くー・・・イチゴジャムおいしい・・・」

どうやら名雪は味覚が麻痺しているらしい。

名雪「くー・・・お腹いっぱい・・・」

祐一「全部食べてるし・・・・」

★  ★  ★  ★  ★

名雪「わっ」

名雪が驚きの声を上げる。

どうやらやっと目を覚ましたらしい。

名雪「気がついたら家の外・・・?」

そりゃ驚くだろう。

名雪「うっ・・・・・・」

ばたり。

名雪が倒れた。

祐一「な、名雪っ!大丈夫かっ!?」

やはりジャムか・・・・・・・・。

★  ★  ★  ★  ★

昼を食べるために1階へ降りていくと、ちょうど真琴が帰ってきたようだった。

それで思い出したが、今日から真琴は秋子さんの紹介してくれたバイトを始めていたのだ。

リビングに赴くと、そこで秋子さんと真琴が話していた。

祐一「おまえ、早いな」

秋子「今日は、土曜日だし、昼までにしてもらったのよ。みんなでお昼食べたいじゃない?」

真琴より先に、秋子さんが答えた。

祐一「で、バイトの手伝い、どうだったんだ」

真琴「あ・・・うん・・・」

真琴「楽勝よ、あんなもん」

真琴「人体実験の手伝いなんて」

祐一「・・・・・・・・はっ?」

真琴「人体実験」

祐一「・・・・・・・なんの?」

秋子「企業秘密です」

祐一「・・・・・・・・・・・・」

真琴「祐一、死にたくないよね?」

祐一「・・・お、おう」

いったいどんなバイトをしてるんだ・・・・・・・・。

★  ★  ★  ★  ★

1月16日 完

評:なんかシナリオ的に谷間なんでネタにしづらいです。真琴はこの日を最後に消えちゃうし(爆)

これからはほんと名雪メインでいくかなぁ?