1月21日

「朝〜、朝だよ〜」

・・・・・。

「朝ご飯食べて学校行くよ〜」

祐一「・・・眠い」

名雪に借りた目覚し時計で時間を確認する。

俺は、毎朝そうしているように、カーテンを左右に開け放った。

眩しい光。

白い景色。

あゆ。

祐一「・・・・・・・・」

祐一「って、何であゆがここにいるんだっ!」

あゆ「うぐぅ、強盗だよ〜」

祐一「強盗だったら、真夜中に来いっ!」

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どん、どん・・・・

何度も名雪の部屋をノックする。

多少うるさいぐらいでは、名雪は起きない。

それは、この数週間で身に付いた知識だった。

しばらくドアを叩きつづけていると、やがて中から眠そうな声が聞こえる。

そして、カチャッ・・・とドアが開いて、中から寝ぼけ眼の名雪が顔を出した。

名雪「・・・うにゅ」

祐一「朝の挨拶は、うにゅじゃないだろ」

名雪「・・・おはよ・・・祐一・・」

祐一「ほら、起きたんだったら、とっとと着替えろ」

名雪「・・・・くー」

ぼかっ。

名雪「・・・痛い」

祐一「いいから、着替えて来い」

名雪「まだ、このままでいいよ・・」

祐一「全然良くないだろ」

名雪「わたし、このゴールドクロスお気に入りだから・・・」

祐一「全然関係無いと・・・・って、ゴールドクロス!?」

もしや某聖○士星矢のクロスか・・・・?

名雪「猫さんのクロス」

祐一「完璧バッタもんだろっ!」

そんなクロス見たことも無い。

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ご飯を食べて、いつもの通学路を名雪と二人で歩く。

穏やかで、日差しが眩しくて・・・そして、寒い朝だった。

名雪「・・・・・・あ」

名雪が小さく声を上げる。

祐一「・・・まさか、また猫か?」

また俺は猫の命を死守しなければならないのだろうか。

名雪「不発弾」

祐一「・・・ふはつだん?」

名雪「うん。不発弾」

名雪の視線の先・・・・・・。

人影に混じって、旧日本軍の不発弾が見えた。

どこかで見たことのある不発弾だった。

というか、不発弾なんてそうそう見るものでもない。

っていうか、ヤバイだろっ!

祐一「おーいっ、あゆ」

俺の声が届いたのか、不発弾を抱えた少女が、こっちに振り向く。

あゆ「・・・・あっ」

表情を綻ばせて、ぱたぱたと駆け寄ってくる。

あゆ「あっ・・・・」

こけっ!

バタンッ!

チュドオオオオオオオオオオオオオオンッ!

あゆ「おはよっ。祐一君、名雪さん」

祐一「テキスト通りに話すなっ!」

★  ★  ★  ★  ★

祐一「名雪、って良い名前だよな」

あゆ「あ、ボクもそう思うよ」

名雪「・・・そうかな?」

意外、という感じで顔を上げる。

祐一「なんというか、イメージ通りの名前だ」

名雪「わたしが?」

祐一「いかにも、「名雪」って感じだからな、お前は」

名雪「・・・・・実は、偽名なんだよ」

祐一「・・・・・・は?」

名雪「偽名」

祐一「・・・・・・・・・・」

あゆ「実は、ボクも・・・・・・・」

祐一「何ぃっ!!??」

意外な事実だった。っていうか、壊しすぎ。

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朝のHRは、いつものように滞り無く・・・・・は終わらなかった。

担任「出題範囲は今配ったとおりなので、各自勉強しておくように」

手元にある藁半紙には5科目分の出題範囲がびっしりと書かれていた。

突然の試験通達だった。

対象は全校生徒。実施日は1月25日。

来週の月曜日だ。

しかも、どうやら1日で5科目全て実施するらしい。

5科目とはもちろん、うぐぅ語、たい焼き早食い、イチゴサンデー早食い、アイスクリーム早食い、牛丼早食いのことだ。

・・・・って、なんだこれはっ!英語とかじゃないのかっ!?

しかもこれって、Kanonのヒロイン関係の食い物じゃないか・・・・。

そして、うぐぅ語・・・・・。

祐一「・・・・・・・・」

やっぱ、国へ帰る。

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名雪「テスト、嫌だね・・・・」

確かに嫌だが、別の意味で嫌だ。

名雪「定期テストじゃないから、少しは気分が楽だけど・・・・」

祐一「でも、試験には変わり無いからな・・・・」

っていうか、あれを試験と呼べるのだろうか?

名雪「・・・そうだ、香里、勉強教えて」

名雪が、拝むように手を合わせる。

香里「人に教わるよりは、自分で勉強したほうが、絶対に効率が良いわよ」

名雪「分からないとこだけだから」

香里「そうね・・・・あたしで良ければ、力になるけど」

名雪「恩に着るよ、香里」

香里「それは、おおげさだって」

表情を綻ばせながら、香里が教室を出て行く。

祐一「なぁ、名雪・・」

祐一「香里って、もしかして勉強できるのか?」

名雪「ずっと、学年で1番だよ」

祐一「・・・・は?」

名雪「1年のときから、ずっと1番」

祐一「・・・・・」

名雪「うぐぅ語も完璧に話せるんだよ」

名雪「将来うぐぅ語の通訳になれるね」

祐一「・・・・・・・」

香里の意外過ぎる一面を知ってしまった・・。

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試験勉強のことで悩んでいると、微かにドアをノックする音が聞こえたような気がした。

こん、こん・・・・

今度は間違い無い。

名雪「・・・祐一、起きてる?」

遠慮がちに、名雪の声がドアごしに聞こえる。

祐一「起きてるぞ」

名雪「・・・開けるよ?」

祐一「ああ」

ドガァッ!

祐一「うおっ!?」

見ると、ドアが粉々に粉砕され、名雪が立っていた。

名雪「こんばんは」

祐一「どうしたんだ、こんな時間に・・・・って、何ドアをこわしてるんだっ!」

名雪「うぐぅ」

祐一「あゆの真似してもダメだ」

名雪「・・・祐一は細かい」

祐一「舞の真似もダメだ」

名雪「あははーっ」

祐一「佐祐理さんもダメ」

名雪「そういう事言う人、嫌いです」

祐一「それもダメ」

名雪「・・・・テスト勉強、はかどってる?」

祐一「話を急に元に戻すなっ!」

祐一「・・・・自慢じゃないが、さっぱりだ」

名雪「わたしも、さっぱり・・・・・」

はぁ・・・・、と二人揃ってため息を吐く。

名雪「・・・・祐一」

祐一「ん?」

名雪「ひとりよりふたりだと思うんだよ」

祐一「何が?」

名雪「・・・二人三脚、だよ」

祐一「当たり前だっ!」

★  ★  ★  ★  ★

名雪「・・・・わたし、眠い」

祐一「まだ、勉強をはじめてもいないぞ」

名雪「・・・うん」

名雪「・・・でも、眠い」目を擦りながら、机を挟んで俺の向かい側に座る。

名雪「もし、途中で寝ちゃったら、起こしてね」

祐一「そのときは、顔に落書きしてやる」

名雪「わ。寝てる間に地雷とか仕掛けちゃ嫌だよ・・・・」

祐一「誰がそんなことするかっ!」

 

1月21日 完

評:この日はテストがるのでその辺で引っ張ってみました。ところでうぐぅ語って分かりますかね(爆)