放課後の商店街を一人で歩きながらどこにあるかも分からないCD屋を探す。
歩道には、寄せ集められた雪の山が赤く色づいていた。
祐一「しまったな・・・店の名前ぐらい聞いておけばよかったな・・・」
何の手がかりも無いまま、時間だけが過ぎていく。
ちなみに、俺が場所を覚えている店は喫茶店と米屋ぐらいだ。
祐一(昔は、もっと色々な店を知っていたんだろうな・・・)
もしかすると、CD屋にも行った事があったのかも知れない。
祐一(思い出せない・・・)
今ほど、子供の頃の記憶が戻って欲しいと願ったことは無かった。
声「祐一君っ!」
祐一「ぐあっ!」
突然、背中に何か重いものがおぶさってくる。」
あゆ「やっぱり祐一君だぁっ!」
首だけ振り返ると、あゆが遠くから走ってくるのが見えた。
・・・・・えっ?・・・・・・じゃあ、俺の上に乗っかってるのは・・・・?
あゆ「重さ100Kgのたい焼きだよっ」
祐一「早くどけろっ!」
っていうか、なぜあゆがそんなもの投げられるんだっ!
★ ★ ★ ★ ★
祐一「・・・・・だけど、俺たち良く会うな」
あゆ「うん、祐一君を24時間尾行してるからねっ」
祐一「すぐやめろっ!」
それじゃストーカーだっ!
祐一「で、一体何を落としたんだ」
あゆ「うん。ボクが落としたのは・・・・・」
あゆ「・・・・・・あれ?」
あゆが困ったように首を傾げる。
あゆ「・・・思い出せない・・」
あゆ「どうしたんだろ・・・何を落としたのか思い出せないよ・・・」
戸惑ったような表情で、不安げに羽がぱたぱたと揺れていた。
あゆ「大切な物なのに・・・・大切な物だったはずなのに・・・」
あゆ「早く見つけないとダメなのに・・・」
あゆ「思い出せないよ・・・」
泣き笑いの表情で、自分自身に戸惑っているようだった。
あゆ「どうして・・・」
祐一「ただのど忘れじゃないか?」
あゆ「ボク・・・探してみる」
祐一「探すったって、何を探すのかも分からないんだろ?」
あゆ「でも、見たら思い出すもん!」
祐一「確かに、その可能性はあるだろうな」
あゆ「だから、ボク、探してみるよ」
祐一「分かった、俺も探すの手伝ってやる」
あゆ「え?本当にいいの?」
祐一「どうせ俺もCD屋を探してうろつくつもりだから、そのついでだ」
あゆ「うんっ、ありがとう祐一君」
祐一「それで問題はどうやって探すかだが・・・」
あゆ「じんかいせんじゅつ、なんてどうかな?」
祐一「それは、人が大勢いるときに使う戦法だ」
あゆ「じゃあ、人がいればいいんだねっ」
祐一「ああ、そうだけど・・・」
そう言った途端、あゆは近くの電話機に走っていった。
あゆ「もしもし自衛隊?」
祐一「やめろーーーーっ!」
っていうか、なんで自衛隊の電話番号知ってんだっ!
あゆ編 1月11日 完
評:旅行疲れがまだ取れない炭物です。というわけでこんなシロモノになってしまいました。