あゆ編 1月12日

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・・・・・・・・・・・

女の子「・・・・・・・・・・・」

女の子が座っていた。

女の子「・・・・・・・・・・・」

人の行き交う場所で、一人ぼっちで座っていた。

女の子「・・・・・・・・・・・」

寂しそうに瞳を伏せて、誰かを待ちつづけていた。

祐一「よぉ、あゆあゆ」

女の子「・・・・・・あ」

少女がゆっくりと顔を上げる。

祐一「悪い。待ったか?」

あゆ「・・・あゆあゆじゃないもん」

木のベンチにちょこんと腰掛けたあゆが、非難の視線を向ける。

祐一「だって、まだちゃんと名前聞いてなかったからな」

あゆ「・・・・あゆ」

祐一「名字は?」

あゆ「・・・・新城」

祐一「いや、違うだろ。」

あゆ「・・・・柏木」

祐一「いや、だからそれ違うゲーム」

あゆ「・・・・七瀬」

祐一「それ、微妙に違うゲーム」

スタッフが一緒・・・・・・

あゆ「・・・・剛田、骨川、源、野比・・・・・・」

祐一「待てっ!それ以上行くと某有名漫画の版権に関わるっ!」

あゆ「・・・・月宮」

祐一「月宮あゆか・・・・なんだ普通の名前だな」

あゆ「・・・・・・」

祐一「俺は相沢祐一だ。よろしくな」

あゆ「・・・うん」

祐一「じゃあ、早速行くか」

あゆ「・・・・・・」

祐一「どうした、あゆあゆ?」

あゆ「・・・もきゅ〜」

祐一「変な返事だな?まぁいいけど・・・・って、良いわけあるかっ!それは違うネタだっ!」

★  ★  ★  ★  ★

祐一「座ってたらいつまでたっても商店街に行けないぞ」

あゆ「・・・・・・」

あゆは、何か言いたそうに俺の顔を覗き込んでいる。

あゆ「・・・・・・」

祐一「もしかして、いきなり告白か?」

あゆ「・・・そんなこと、しないもん」

祐一「まあ、冗談だけど」

あゆ「・・・あのね」

あゆ「・・・お前を、殺す」

祐一「・・・・・・待てっ!だからそれは違うアニメだろっ!某ガンダムWだろぅっ!」

ちびあゆってこんな性格だったか?

 

あゆ「・・・・・・」

無言で、たい焼きを頬張る。

祐一「どうだ?」

あゆ「・・・・・・今日のほうがおいしい」

祐一「当たり前だ」

あゆ「やっぱり昨日のは毒が入ってたからかな」

祐一「何いいいぃぃぃっ!?」

あゆ「しかもテトロドトキシン」

祐一「のおおおおっ!」

★  ★  ★  ★  ★

たい焼きを食べ終わって、俺とあゆはオレンジの街並みを歩いていた。

あゆ「・・・祐一君」

ぽつり、と俺の名前を呼ぶ。

それこそ、街の喧騒にかき消されそうな声だった。

あゆ「・・・ひとつだけ・・・訊いていい?」

祐一「ひとつと言わず、いくらでも構わないぞ」

あゆ「・・・うん。でも、今日はひとつだけ・・・・・・」

息を整えるように、少し間が開く。

あゆ「・・・祐一君、お母さんのこと、好き?」

祐一「好きだよ」

あゆ「ボクも、好きだよ・・・・・」

祐一「・・・それが、どうしたんだ?」

あゆ「・・・それだけ・・・」

祐一「・・・そっか」

また、しばらく無言で歩く。

あゆ「あのね・・・」

あゆ「・・・お母さんが、いなくなっちゃったんだ」

祐一「・・・・・・」

まるで世間話でもするように、歩きながらぽつり、と呟く。

あゆ「・・・ボク一人置いて、いなくなっちゃったんだ」

祐一「・・・・・」

あゆ「・・・それだけ・・・」

と、突然、あゆが大声で、

「もーいーかーいっ!?」

「まーだだよーっ!」

どこからともなく女の人の声が聞こえた。しかも大声で。

祐一「・・・・・・」

あゆ「お母さんが、いなくなっちゃったんだ・・・・・・」

祐一「探して来いっ!」

っていうか、範囲広すぎっ!

★  ★  ★  ★  ★

祐一「・・・じゃあ、ここでお別れだな」

商店街の入り口で、後ろを歩いていたあゆの方に振り返る。

あゆ「・・・・・・」

祐一「あゆ・・・・・」

あゆ「・・・・・」

祐一「明日も、一緒に遊ぼうな」

あゆ「ほんと・・・?」

祐一「あゆさえ良ければ、な」

あゆ「・・・ボク・・・・」

あゆ「祐一君といると・・・楽しいから・・・」

あゆ「楽しかったときのこと・・・思い出せるから・・・」

祐一「だったら、指切りだ」

あゆ「うん」

赤く染まる小さな指を絡める。

そして、離れる・・・・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・。

気がつくと、指から大量の血が出ていた。

っておいっ!「赤く染まる」って、ほんとに赤くてどうするんだっ!

 

あゆ編 1月12日(前編)完

評:いまテストおわって仮死状態です。普通に死ねます。でも根性です。ど根性です。たとえ平均睡眠時間が名雪の1/4でも頑張ります。