名雪「ちょっと待っててね。すぐに電池交換して貰うから」
言い残して、名雪が時計屋に入っていく。
祐一「・・・・・・・」
しばらく待っていると、殺気がしたので素早く身を伏せると、俺が立っていたところに手投げナイフが飛んできた。
祐一「名雪か?」
テキスト通りに喋るとかなり違和感のあるセリフだ。
あゆ「こんにちは、祐一君っ」
振りかえると、名雪ではなく、あゆが笑顔で立っていた。
なんて挨拶の仕方だ・・・・・。
祐一「なんだ、あゆか」
あゆ「うぐぅ、なんだはひどいよ〜」
祐一「てっきり、ほ〜ちゃんだと思った」
・・・・って、ほ〜ちゃんって、誰!?
(ほ〜ちゃん、勝手にネタに使ってごめんなさい。)
あゆ「・・・なゆき?」
あゆが、聞きなれない名前に首を130度ほど捻っている。
死ぬって。
あゆ「・・・・・食べ物?」
祐一「食うな」
あゆ「・・・・・飲み物?」
祐一「飲むな」
そういや、あゆは名雪と一度も顔を合わせたことがないのか・・・。
祐一「秋子さん、知ってるだろ?」
あゆ「うん。ボク秋子さん大好きだよ」
祐一「秋子さんの、娘さんの名前だ」
あゆ「そうなんだ・・・・・」
あゆが感心したように頷いている。
祐一「ちなみに、俺のいとこだ」
あゆ「もしかして、一緒に住んでるの?」
祐一「そういうことになるな」
あゆ「そうなんだ・・・・・」
名雪「お待たせ、祐一・・・・?」
店を出てきた名雪が、あゆの姿を見つける。
祐一「こいつが名雪だ」
あゆのために、簡単に紹介する。
あゆ「・・・・・」
じゅるり。
祐一「食うなっ!」
しかも、これって前のネタ使ってるし・・・・。
★ ★ ★ ★ ★
名雪「ええっと、あゆちゃんって呼んでいいのかな?」
自己紹介が終わって、名雪が先に話しかける。
あゆ「うん。あゆちゃんでいいよ」
名雪「私のことも、姉御って呼んでいいよ」
あゆ「・・・・姉御?」
ちょっと待てぇっ!姉御って何だっ!
あゆ「・・・やっぱり、名雪さんって呼ばせてもらうよ」
名雪「残念・・・・・・」
名雪は、姉御と呼んで欲しかったらしい。
・・・・普通呼ばれたいか?
名雪「そうだ」
名雪「もし良かったら、これから遊びに来る?」
あゆ「え?」
思わぬ誘いだったのか、あゆが驚いたように訊き返す。
名雪「お母さんも大歓迎だと思うよ」
あゆ「・・・・」
名雪「どうかな?」
あゆ「でも、日が暮れちゃうよ・・・・」
名雪「それなら、泊まっていったらいいよ」
あゆ「でも・・・・・」
あゆにしては、珍しく遠慮がちだった。
祐一「そうだな、泊まっていったらいいんじゃないか?」
名雪が乗り気なのに、理由なく反対することもないと思った。
名雪「どうかな、あゆちゃん?」
あゆ「・・・本当にお邪魔していいの?」
名雪「うん」
あゆ「・・・」
祐一「俺も構わないぞ」
あゆ「・・・・・・」
名雪「お母さんも歓迎するよ」
確かに、あの人だったら手放しで大歓迎だろうな。
あゆ「・・・・うん」
あゆが、こくんと頷く。
名雪「決まり」
名雪も嬉しそうに頷く。
結局、うまい闇鍋屋にも立ち寄ることなく、まっすぐ名雪の家に向かうこととなった。
・・・って、闇鍋屋寄るつもりだったのか?
あゆ編 1月19日 完
あとがき:名雪が「姉御」って呼ばれたら、どう反応するんでしょうね・・・。あと、あゆってナイフの扱いが上手だったんですね・・・