昼休みになると、すぐさま席を立ち、学食へと向かう。
そこでまだ食べ飽きてないパンふたつに、おにぎりひとつを見繕い、折り返し階段を登って行く。
まるで日課となりつつある、舞達と共に取る昼食。
おかしなことがきっかけで知り合った仲だが、今では不思議な居心地の良さを感じる。
佐祐理さんは人が良いし、舞は舞で喋っていて興味深いところが多い。夜の件に関係なく、だ。
颯爽と階段を駆け上がり、いつもの場所に顔を出す。
祐一「・・・・・・・・・」
誰もいなかった。
屋上に出たのだろうか。
この季節なかなか開けられることのない鉄製の重い扉を開け、突風のまともに吹き付ける屋上へと歩み出る。
祐一「・・・・・・・・・」
人の気配はない。
祐一「佐祐理さーんっ!」
祐一「舞ーっ!」
見えないところにいるのかと思ったが、こんな寒さの中で一体何をしようと思うのだ、と自分の考えに呆れてしまった。
しばらく待って見ても彼女達が現れる気配もなく、俺は階段を降り、教室へ戻った。
〜放課後〜
パタパタと階段を駆けあがる名雪と別れて、ひとり廊下を歩いているとその先に見知った顔があった。
彼女が一人で居るなんて初めて見たから、近くに寄るまでそうとは確信できなかった。
でもやはりそれは、佐祐理さんだった。
祐一「どうしたの、佐祐理さん」
佐祐理「あ、祐一さん。こんにちは」
祐一「舞を待ってるの?」
佐祐理「ええ・・・。あの・・・」
祐一「うん?」
佐祐理「昼休み・・・待ってました?」
祐一「ああ、ちょっとだけ。来る様子がなかったから、すぐに引き返したけど」
佐祐理「ごめんなさい・・・・・」
祐一「どうしたんだ?なんだか元気ないみたいだけど」
佐祐理「そんなことないですよーっ、あははーっ」
どうみても空元気である。
祐一「舞は・・・・・?」
そう聞いてみると、一瞬で顔が変わる。
佐祐理「・・・・・・・・・あはは・・・」
祐一「?」
佐祐理「・・・・・め・・・目潰しっ!」
ぐさっ!
祐一「ぐわぁっ!」
佐祐理さんが、音速で俺に目潰しを食らわせた。
っていうか、それ俺のネタだし・・・・・・。
★ ★ ★ ★ ★
祐一「よし、じゃあ夜食タイムといくか」
そう言うと、舞はこくりと頷いた。
俺は手に掲げていた袋から、寿司の詰め合わせパックを取り出して開封する。
祐一「温かいもののほうが良かったかな」
舞「寿司嫌いじゃないから・・・・・」
祐一「そうか、そりゃ良かった。相変わらずコンビニものだから味は保証できないけどな」
祐一「なにがいい?」
舞「プリン」
祐一「それは寿司じゃないだろっ!だいたいそんなものがコンビニの寿司に入ってるか・・・・って、何ぃっ!?」
言いかけて俺は絶句した。
ちゃんとプリンが入っていた。何故!?
舞編 1月14日 完
評:う〜ん、今回は歯切れ悪かったっすね。いや〜ん、許して〜。てなわけで、次回頑張ります。