舞編 1月16日

間の前の角から、学校へ向かう生徒たちの波に合流した幾つかのグループの中に、見覚えのある二人の姿があった

祐一「名雪」

名雪「うん?」

祐一「悪いけど、先に行っててくれるか?」

名雪「うん。それはいいけど、どうして?」

祐一「知り合いを見つけたから、一緒に行こうと思って」

名雪「そうなんだ・・・・・・・・」

名雪は少し悲しそうだった。

祐一「本当は名雪にも紹介したいんだけど、ちょっととっつき辛い子なんだ」

ちなみに、実際はちょっとどころではない。

名雪「うん。分かったよ」

もう一度頷いて、先に走っていく。

名雪「祐一の浮気者〜〜〜〜〜〜っ!!!!

祐一「待てええええええぇぇぇぇっ!誰が浮気者だぁっ!」

ふと気がつくと、舞と佐祐理さんがこっちを見ていた。

祐一「よぅ、おふたりさん」

いや待てっ!この状態でこの科白は絶対無理があるって!

佐祐理「あーっ、浮気者の祐一さんだぁ」

祐一「おう、浮気者の祐一さんだぞ・・・・・・って、違うわぁっ!」

俺は佐祐理さんにつっこむ。

ひゅっ!

祐一「えっ・・・・・?」

つっこみが佐祐理さんにかわされてしまった。

そして、

ばきぃいいっ!

佐祐理「あははーっ、祐一さん、ガードが甘いですよーっ

佐祐理さんにカウンターを食らってしまった。

っていうか、つっこみをカウンターするお嬢様って一体・・・・・・。

 

 

祐一「しかし早起きは3文の得とは、このことだよな。朝から佐祐理さんと会えるなんて」

佐祐理「じゃあ、佐祐理たちの為にも、これからも早起きして、この時間に来てください」

祐一「ああ、努力してみるよ」

佐祐理さんの笑顔で言われると、本当にそうしたくなる。

佐祐理「トラップがありますから、気をつけて歩いてくださいね

祐一「ほら、こんな風に気遣って・・・・・・って、今、なんて言いました?」

佐祐理「ですから、トラップです。」

祐一「この通学路にそんなものがあるのかっ!?」

佐祐理「ええ。だって舞が毎日仕掛けてますから

祐一「やめれって!」

ちなみにその頃、先に走っていた名雪は謎の地雷を踏んでしまい、遅刻の原因となった。

っていうか、普通に死ねるぞ。

 

校門を抜けたところで人だかりが出来ていた。何か、立ち往生をしていると言った様子だった。

祐一「どうした?」

校内に入るにはいれず、俺達もその野次馬の中に加わる。

佐祐理「なんですか?」

祐一「さぁ・・・・・・」

佐祐理「あ、山犬ですね」

祐一「え?」

それって、某もの○け姫・・・・・・

ザシュゥッ!

舞「・・・・・・・」

舞の無言のつっこみ炸裂。

よく見ると、昇降口近くに、野生の出で立ちをした犬が唸りを上げてうろついていた。

佐祐理「この時期は餌が無いですから、たまに降りてくるんですよ」

祐一「そういや、舞は?」

佐祐理「ほぇ・・・・・居ませんねぇ」

俺はその場に佐祐理さんを残して、何時の間にか声がしなくなっている舞を探した。

人ごみとは離れたところ、植え込みの中にしゃがみ込んで何事か、いそしんでいた。

祐一「舞っ」

舞「・・・・・・・・・」

俺の声に立ちあがる。

祐一「どうした」

舞「・・・・・地雷」

祐一「いや、そんなもんは校内に仕掛けんでいーって」

そしてふと気づくと、野犬が俺達に向かって突っ込んできた。

祐一「おい、逃げるぞっ」

舞「・・・・大丈夫」

祐一「いや、大丈夫って・・・・・」

チュドオオオオオオオオオオオオンッ!

地雷が爆発し、野犬が空高く舞い上がった。

そして野犬は、夜空のお星様になりました。

祐一「・・・・・・・舞」

舞「・・・・・・・?」

祐一「これから、地雷作り全面禁止な」

舞「・・・・・・・・・・・」

舞「・・・・・・・チッ

舌打ちすんなぁぁぁぁぁぁ!

舞編 1月16日 完

あとがき:なんか・・・・・・舞が・・・・・理系の知識持ってますね。いや、一番壊れてるのは祐一のように思えてならないんですが。