舞編 1月17日

今夜はいつもより冷えるようだった。

凍ったような廊下の床板の上を素足で歩いていると、戻った部屋から出るのさえ億劫になりそうだった。

だが、そんな外気と同じ気温の場所に延々と佇む人間もいるのだ。

それを知っていて一人にしておくこともできない。

俺は出かけるのだろうか?

出かけるのだろう。

 

祐一「よぉうっ、舞」

もはや夜の校舎の光景として、舞の姿も俺の脳裏に焼き付いていた。

だから、逆にその姿がないと戸惑ってしまう。

祐一「あれっ・・・?」

祐一「舞ーーーっ、いないのかーっ」

本来の静けさを保った校舎が、こんなにも寂れたものだとは思わなかった。

何もかもが古めかしく見え、不意に過去の校舎へ放り出されたみたいだった。

祐一「舞ーーっいるんだろーーーっ!?」

前の休日にはいたから、今日もいると思ったのだが・・・日曜日は家で休んでいるのだろうか

祐一「舞ーーーっ、夜食あるから、食いにこいよーっ!!」

犬や猫じゃないんだから、こんなので現れるわけ無いか・・・

ずがががががががががががが!!!

祐一「うおっ!?な、何だっ!」

俺の足下にどんどん亀裂が走っている。

祐一「お、おい何だよこれっ!?」

亀裂はどんどん広がっていきやがて、

ごごごおおおんっ!

穴が開いた。

祐一「・・・・・・・・・・」

そして、その穴から舞が出てきた

舞「・・・・・・・・」

無言で歩いてくる。

祐一「っつーか、普通に来いって!!」

一応・・・ではないが、突っ込んでおく。

舞「・・・・・・・・・?」

祐一「まあ、いいっ(いいのか?)ほら、夜食だ、食うだろ?」

こくり、と頷く。

祐一「今日はみたらし団子だ。コンビニで売ってるんだぞ」

舞「・・・・・・・・」

祐一「みたらし団子は好きか?」

舞「・・・・・・・・嫌いじゃない」

ニヤリ。

祐一「・・・・・・普通に「ニヤリ」とかやるな」

怖いから。

祐一「ほら」

5本あるうちの、3本を舞に差し出す。

舞はそれを空いてる方の手で扇形に開いて持つ。

舞「・・・・・・・・」

茶屋に立ち寄った侍のようで可笑しい。

舞「・・・ちなみに臨戦中だから」

祐一「えっ・・・・?」

舞が素早く団子の1本に唇を滑らせ、それをただの串に変えると、俺の右頬めがけて投げつけた。

ぐさっ

舞「・・・・・・・・・・・」

魔物「・・・・・・・・・・」

祐一「・・・・・・・・舞、照準誤るなよな」

とりあえず、右頬の串を抜いた。

と同時に、

タンッ!

舞が俺の肩に手を置き、地を蹴る。

俺がその体重を支えきると、舞の体は天井ぎりぎりの高さに舞った。

ごん

舞「・・・・・・痛い」

祐一「つーか高さ考えろって!!」

祐一「おいっ!こんな中途半端で終わるんかいっ!」

舞「・・・祐一は細かい」

祐一「細かいとかの問題じゃないって!職務怠慢だー!」

あとがき:祐一の言う通りです(爆)。ちょっとインターミッションという感じですわ。ごめんなさい。次は真面目にやります。