舞編 1月18日

祐一「悪いけど、今日もまた先に行っててくれないか?」

名雪「うん。わかったよ」

全く事情も訊かずに、頷いて走りだす。

祐一「おはよぅっ、おふたりさん」

俺は後ろから迫って、ふたりの肩を同時に叩く。

佐祐理「あ、祐一さん。おはようございます」

佐祐理さんは不機嫌なときなど無いのだろうか。いつだって笑顔だ。

舞「・・・・・・・・」

で、相変わらずこっちは能面。

機嫌が良いのか、悪いのかさえも分からない。

俺が裸で歩いてたって、こんな顔をしてそうである。

佐祐理「今日はたくさん、お弁当を作ってきたんですよ」

ぼぉーっとしていたら、佐祐理さんが俺の顔を見て話していた。

佐祐理「今日は、ほうれん草とフルーツパフェ胡麻和え弁当です

祐一「・・・・・・・・え?佐祐理さん、いまなんて・・・・・・」

舞「祐一・・・・・・・・・・」

気づくと、舞が俺の服の裾をつかんでいた。

舞「今日の佐祐理は、機嫌が凄く悪いから気をつけて・・・・・・・・・・」

祐一「嘘ぉっ!?だって、あんなに笑顔で・・・・・・」

気づくと、佐祐理さんの額のほうに、微かに青筋が走っていた。

佐祐理「祐一さんもたくさん食べてくださいね」

祐一「は・・・・・・・はいっ」

なんか、半分脅しだった。っていうか、なんであんなに機嫌悪いのっ!?

 

昼休みになると、俺は嬉々として踊り場に姿をあらわしていた。

祐一「舞、これをやろう」

舞「・・・・・・?」

隠し持っていた棒状に畳んであった物を、舞に手渡す。

箸を止めた舞が、俺の顔とそれを交互に見比べる。

祐一「開いて見ろ」

舞がそれをするすると解いてゆく。

舞「・・・・・・・・・」

そして黄色の旗となったそれの、横断中の子供が描かれた部分をジッと凝視する。

舞「・・・・・・・・?」

横から佐祐理さんも一緒になって食べかけのけろぴーの尻尾を口からはみださせたまま、止まっていた。

・・・・・・って、ちょっと待てっ!けろぴーって何だっ!

祐一「さ、佐祐理さん・・・・」

佐祐理「はい?」

祐一「い、いや・・・・・な、なんでもない・・・・・・・」

き、聞けねえ・・・・こればっかりは聞けねえって!

 

放課後〜

祐一「お、名雪。いいところにいたな」

名雪「どうしたの?」

祐一「何かさ、女の子を女の子らしく見せる方法って無いか?」

名雪「・・・・言ってる事が良く分からないよ」

祐一「言葉の通りだよ」

祐一「ゴリラっぽい女の子でも、可愛く見せる方法だよ」

名雪「その子、ゴリラっぽいの?」

祐一「いや・・・ゴリラっぽくは無いけど」

名雪「それなら、可愛いの?」

祐一「・・・・・・・・」

祐一「む・・・・・・・・」

祐一「むむ・・・・・・・」

名雪「・・・・・?」

祐一「目潰しッ!」

名雪「わっ」

さっ。

名雪は、驚きながらも俺の寸止め目潰しを避け・・・・

ぐさっ!

祐一「ぐををををっ!」

名雪のカウンター目潰し攻撃が決まってしまった。しかも、寸止めじゃないし。

名雪「大丈夫?」

祐一「大丈夫なわけあるかっ!」

名雪「でも、祐一がそんな照れ隠しするなんて思わなかった」

いや、なんでそこだけ台詞が本編通りなんだ・・・・・・・

 

名雪「たとえば、あれに出て見るとか・・・・・」

祐一「どれ?」

掲示板に寄って行き、名雪の指差す1枚の張り紙を見る。

平成11年度学園サバイバルゲーム(本物志向)」と、題字にあった。

・・・・・・・・本物志向?

名雪「生徒会主催のサバイバル大会。学園の恒例行事なの」

祐一「・・・・・名雪、本物志向って何だ?」

名雪「そのままの意味だよ」

祐一「・・・・・・さすがに、人は死なないだろ?」

名雪「えっと・・・最近はあまり出てないね・・・・・」

な、何ィッ!?

ちょっと前までいたのかっ!?死傷者がっ!

祐一(すごく先行き不安・・・っていうか、こんなことしても舞が女の子らしくなるわけねえじゃんよぉ・・・・・)

本末転倒ということに気がついた1日だった。

1月18日 完

あとがき:眠っ!ダメです。眠いです。夏休みがこんなに眠いとは・・・・。ZZZ・・・・・