きんと冷えた空気に顔を凍りつかせながらも、俺は先を急ぐ。
すると期待通り、さほど距離を置くことなく、ふたりの背中を見つけることが出来た。
小走りに追いつくと、俺は背後からその並んだ背中を同時に叩く。
祐一「よぅ、おふたりさん」
けろぴー「あ、祐一さん、おはようございます」
祐一「おはよぅっ。相変わらず朝からいい笑顔だね、佐祐理さんは」
けろぴー「あの、祐一さん、ちょっと・・・・」
けろぴーが俺の進路を手で制した。
・・・・・・・ちょっと待てぇっ!なんでけろぴーが朝から笑顔を振りまいてんだっ!っつーか、佐祐理さんの声出してるし・・・
チャイムが鳴り、1時間目の授業が終了する。
俺は机の上に広げられた教科書やノートをそのままに、立ちあがる。
佐祐理さんとの約束があったからだ。
廊下へ向けて足を踏み出すと同時・・・・・
どごーんっ!
佐祐理「祐一さん、いますかーっ」
まだ授業終了直後の静けさにあった教室に、ドアを爆弾で破壊した女性の凛とした声が響き渡った。
祐一「っつーか、ドア破壊しないでください!」
佐祐理「あははーっ、手加減したんですけど」
祐一「普通に開ければいいでしょっ!」
ドア周辺にいた斎藤と北川が犠牲になっていた。
佐祐理「実は、祐一さんに話があるんです」
祐一「そうか、そうだったな」
佐祐理「えっと、ドレスのことなんですけど。どうなりました?」
祐一「いや、18日の裏Kanonにはドレスの話は出てこなかったからどうにもなってない・・・」
佐祐理「あの、佐祐理のほうでなんとかなりそうなんですけど・・・・」
祐一「え?どうしたの?」
佐祐理「用意してもらえるんです」
佐祐理「金ちらつかせて」
心なしか、「はっ」と佐祐理さんが小ばかにしたような笑みを見せたような気がした。
・・・っつーか、裏Kanonの佐祐理さんって、実はやな人?
昼。
最上階の踊り場では、すでに佐祐理さんが弁当を広げ、舞は箸だけをもって佐渡おけさをしながら待っていた。
とりあえず作者が新潟出身ということが理由だと分かっているので、あえて深く突っ込まないことにする。
祐一「舞、喜べ」
俺はその間に割って座るなり、佐渡おけさ中の舞に告げる。
舞「・・・・・・・・?」
祐一「なんとドレスの調達に成功した」
祐一「嬉しいだろ?ほら、ばんざーい」
俺と佐祐理さんで舞の腕を片腕づつ持って、バンザイさせてやる。
佐祐理「ばんざーい、ばんざーい」
舞「・・・・・・」
無言の舞の両腕がばっさばっさと上下する。
佐祐理「ばんざーい」
なんだか平和である。
しかし、なんだか舞の様子がおかしい。
もうばんざいはやめているのに、舞だけは自分で両腕をばっさばっさとやっている。
舞「・・・・・・・・」
そのうち、浮いた。
舞「・・・・・・」
ばっさばっさ。
そして、飛んだ。
佐祐理「ふぇ〜・・・舞って、飛べたんですね・・・」
祐一「普通飛べないって!」
なんか、これで明日の舞踏会がだいじょぶかどうか心配になってきた。
舞編 1月19日 完
あとがき:今日は羽目はずしてみました。佐祐理さんが嫌な人になってたり、舞が飛んだりと、なんか某イギリスの某コント番組見たせいかなあ。