5時間目の教科担任が入ってきたので、俺は机の中を探る。
すると、教科書、ノートと共に見なれない文庫本が腰の辺りに落ちた。
祐一「ん・・・・・?」
拾い上げて表紙を見てみると・・・
祐一「ぐあ・・・・」
あからさまにいかがわしい小説であった。
表紙からしていかがわしい。
タイトルが「Let's ボディビル」なのだから。
祐一(・・・・って、なんでボディビルやねんっ!)
これは罠かもしれない。
転校生がいじめを受けるのは、どの学校においても定石だろう。
今、持ち物検査なんて始められれば、俺は逃げ場を失ったカモシカ状態になる。
いつ、濡れ衣を着せられるかわからないような緊迫した状況なのだ。
所持しているだけでも、あやうい品であると言うのに、さらに俺は授業中にそのページをおもむろにめくろうとしている。
そんなのハイエナの群れに飛びこんでいく錯乱状態のカモシカである。
だが、そんなスリリングな状況でこそ、快楽はむさぼるに相応しい。
男とはそうでなければならない。
祐一「うおりゃー!」
気合を入れて、ページを捲った。
北川「うるさいっ」
後ろから頭を小突かれるが、もはや俺の暴走は誰にも止められない。
祐一「ふむふむ・・・これはすごい」
授業のほとんどを使って、堪能した。
授業が終わってから判明することになるが、やはりそれは悪戯だったようで、その本を取り戻しに来た男は一言だけ言った。
男子生徒「一緒にボディビルしないか?」
祐一「断る」←0.0001秒
常識的に考えると、そういうことだ。
ボディビルを罠だと思うことを常識的かどうかはかなり怪しいが・・・・
びゅっ・・・びゅっ・・・
相変わらず一人では素振りしか出来なかったけど、やらないよりはマシだろう。
びゅっ・・・びゅっ・・・
祐一「・・・・・」
また舞の奴・・・どこかで様子を窺ってたりして・・・・
祐一「はぁ、猪ぐらい出てくれねーかなぁ・・・いい実践訓練になるのに」
びゅっ・・・びゅっ・・・
祐一「・・・・・」
今日はいないか・・・・
どどどどどどどどどどどど・・・・・・・・!
いや、大地を踏み荒らす音!
・・・・正面!
俺は一歩踏み出し・・・
祐一「・・・って、ちょっと待てぇっ!」
正面には、猪の群れがいた。
その真中辺りに、舞が猪に乗っているのを発見した。
舞「・・・猪さん」
どががががががっ!
祐一「ぐおおおおおおっ!」
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
かろうじて生きていた。
祐一「・・・・・もののけ姫?」
それだけ言うのが精一杯であった。
舞編 1月26日 完
あとがき:はりつめたぁ〜〜〜ゆみのぉ〜〜〜〜・・・とと、すいません(笑)今回は危うく18禁になるとこでした(笑)