夕飯後。
部屋に戻ろうとして、廊下に出ると、玄関に人影ががあった。
ヒトカゲ「ぎゃおー」
いや、それは違う「ひとかげ」だろ・・・・・・。
祐一「ん?」
それは真琴だった。急いで靴をはいている。
夕飯の間も俺とは目も合わさず、慌しく食べ終わると、ひとり食卓を後にしていた。
今日は面接があったはずだったから、その結果を訊かれるのが嫌で逃げているのだろう。
祐一「おい、真琴」
真琴「わっ」
祐一「待て、わってなんだ」
慌てて出て行こうとする真琴の首根っこを捕まえる。
真琴「あぅ、肉まんーっ」
祐一「面接はどうしたっ」
真琴「行ったよ」
祐一「行ってどうした」
真琴「面接したよ」
祐一「して、どうした」
真琴「落ちたよ」
祐一「落ちたって・・・まだ結果報告まだだろ?」
真琴「だって、もう帰って良いよ、って、面接の途中で」
祐一「なにしたんだ、おまえ」
真琴「なにもしてないよ」
祐一「うそつけ」
真琴「ただ・・・・暇だったから腕からキャノン砲を・・」
祐一「・・・・・・・・」
いや、落ちて当然だろう。
真琴「・・・撃った方が、良かった?」
祐一「良いわけあるかっ!こいっ!」
また引きずるようにして、真琴をリビングへと連れて行く。
秋子「なに見てるの?」
祐一「アルバイト情報ですよ」
秋子「誰がアルバイト始めるの?」
真琴「祐一」
祐一「おまえだろっ!」
真琴「あぅ・・・」
秋子「え?真琴がアルバイトするの?」
祐一「ええ。ただ遊んでるだけじゃ申し訳無いからって」
真琴「そんなこと一言も言ってないんだけど・・・」
秋子「じゃ、私の知り合いにでも紹介してもらいましょうか?」
祐一「そりゃ、ちょうど良かったです。どんなお仕事ですか?」
秋子「・・・・・・・・」
祐一「秋子さん?」
秋子「・・・企業秘密です」
祐一「・・・・え」
秋子「祐一さん・・・」
祐一「は、はい」
秋子「長生きしたいですよね・・・・・?」
祐一「・・・・は、はいっ」
秋子「じゃあ聞かないで下さいね」
にやり。
祐一(秋子さんのこんな怖い笑顔、初めて見たぞ・・・)
真琴「・・・秋子さん、何をするの?」
秋子「・・・・真琴も、長生きしたいわよね・・・・・・」
真琴「え?あ、う、うんっ」
秋子「後で教えるから、今は聞かないで頂戴ね・・・・・・」
真琴「は、はいっ」
にやり。
祐一(こ・・・・怖えぇっ!)
真琴は不安げな表情で「南無妙法蓮華経・・・・・」等と言っていた。
真琴編 1月15日 完
あとがき:なんか最近忙しくてちょっと使いまわしがありました。今度から夏休みに入るのでその勢いでばんばん更新したいです。