真琴編 1月15日

夕飯後。

部屋に戻ろうとして、廊下に出ると、玄関に人影ががあった。

ヒトカゲ「ぎゃおー」

いや、それは違う「ひとかげ」だろ・・・・・・。

祐一「ん?」

それは真琴だった。急いで靴をはいている。

夕飯の間も俺とは目も合わさず、慌しく食べ終わると、ひとり食卓を後にしていた。

今日は面接があったはずだったから、その結果を訊かれるのが嫌で逃げているのだろう。

祐一「おい、真琴」

真琴「わっ」

祐一「待て、わってなんだ」

慌てて出て行こうとする真琴の首根っこを捕まえる。

真琴「あぅ、肉まんーっ」

祐一「面接はどうしたっ」

真琴「行ったよ」

祐一「行ってどうした」

真琴「面接したよ」

祐一「して、どうした」

真琴「落ちたよ」

祐一「落ちたって・・・まだ結果報告まだだろ?」

真琴「だって、もう帰って良いよ、って、面接の途中で」

祐一「なにしたんだ、おまえ」

真琴「なにもしてないよ」

祐一「うそつけ」

真琴「ただ・・・・暇だったから腕からキャノン砲を・・」

祐一「・・・・・・・・」

いや、落ちて当然だろう。

真琴「・・・撃った方が、良かった?

祐一「良いわけあるかっ!こいっ!」

また引きずるようにして、真琴をリビングへと連れて行く。

 

 

秋子「なに見てるの?」

祐一「アルバイト情報ですよ」

秋子「誰がアルバイト始めるの?」

真琴「祐一」

祐一「おまえだろっ!」

真琴「あぅ・・・」

秋子「え?真琴がアルバイトするの?」

祐一「ええ。ただ遊んでるだけじゃ申し訳無いからって」

真琴「そんなこと一言も言ってないんだけど・・・」

秋子「じゃ、私の知り合いにでも紹介してもらいましょうか?」

祐一「そりゃ、ちょうど良かったです。どんなお仕事ですか?」

秋子「・・・・・・・・」

祐一「秋子さん?」

秋子「・・・企業秘密です

祐一「・・・・え」

秋子「祐一さん・・・」

祐一「は、はい」

秋子「長生きしたいですよね・・・・・?

祐一「・・・・は、はいっ」

秋子「じゃあ聞かないで下さいね」

にやり。

祐一(秋子さんのこんな怖い笑顔、初めて見たぞ・・・)

真琴「・・・秋子さん、何をするの?」

秋子「・・・・真琴も、長生きしたいわよね・・・・・・」

真琴「え?あ、う、うんっ」

秋子「後で教えるから、今は聞かないで頂戴ね・・・・・・」

真琴「は、はいっ」

にやり。

祐一(こ・・・・怖えぇっ!)

真琴は不安げな表情で「南無妙法蓮華経・・・・・」等と言っていた。

真琴編 1月15日 完

あとがき:なんか最近忙しくてちょっと使いまわしがありました。今度から夏休みに入るのでその勢いでばんばん更新したいです。