真琴「はぁっ・・・・寒いねえ・・・」
白い息を吐きながら、真琴が何も持たない手をすり合わせた。
祐一「当たり前だろ。いきなり汗かくほど暑かったら怖いぞ」
真琴「日常会話よ。日常会話」
真琴「そんなつっけんどんに言い返すこと無いでしょ」
確かにそうだった。
これまでが常に臨戦体制だったためか、素直に話を進めることを条件反射で拒否してしまっているようだった。
真琴も素直になってきているのだから、それは歓迎してやらなければならない。
それこそ最近の俺は、そんな関係を求めて奔走していたはずではないか。
真琴「新巻鮭、降るよ、たぶん」
気を取りなおしたように、真琴が空を見上げていた。
祐一「ああ。新巻鮭以外は・・・・って、何言ってんだお前!」
どうして新巻鮭が降って来るんだよっ!
真琴「あ・・・・降ってきた」
ごぃんっ!
頭に鈍い痛みが走る。
新巻鮭だった。
冬の寒空で硬くなった新巻鮭が丸ごと俺の頭にヒットした。
祐一「な・・・なんで新巻鮭が」
購買へ向かう途中で、見覚えのある顔とすれ違う。
校内に酷似している生徒がいなければ、昨日の放課後廊下で2,3言葉を交わした女の子に間違いなかった。
今日も一人きりで友達はいない。
俺は昨日、その女のこと分かれてから考えていたことがある。
それは、この子なら、真琴と友達になってくれるんじゃないか、ということだった、
昨日のそぶりは、真琴に対して良い印象を持っているようだったし、この子も友達が欲しいころだったのかもしれない。
だからその偶然を幸運とばかりに、俺は声をかけてみた。
祐一「よぅ」
女生徒「・・・はい」
その子が立ち止まって振り返る。
女生徒「あ・・・・」
そして俺の顔を見て、安心したように警戒を解いた。
女生徒「どうしました?」
祐一「ああ。ちょっと話をする時間時間あるかな、と思って」
女生徒「今・・・ですか?」
祐一「ああ。今がいい。昼飯は?」
女生徒「戴きました」
祐一「早いんだな・・・・・」
女生徒「プロテインでしたから」
何ィィィィィィィッ!?
祐一「それは昼飯じゃないだろーっ!」
女生徒「小食ですから」
祐一「関係無いーっ!」
裏Kanonの美汐が、かなりやヴぁい人物に見えた。
祐一「寒いけど、ほんとにここでいいの?」
近づいていき、俺は改めて聞いた。
女生徒「はい」
女生徒「コスモが燃えてますから」
祐一(また訳のわからないことを・・・・・・)
祐一「とりあえず、名前を教えてもらえると呼びやすいんだけど」
女生徒「はい。天野です。天野美汐」
祐一「天野・・・・・・ね」
下級生だったから、気を使わずに呼び捨てにしてもらうことにした。
祐一「俺は相沢祐一」
天野「はい」
祐一「相沢、とでも祐一、とでも好きに呼んでくれれば良いよ」
天野「はい。では「ゆうちゃん」で」
祐一「何故あだ名か」
天野「一番良く言われてそうだったので」
祐一「「ゆうちゃん」って言う人が裏Kanon見てたらどうする!?」
天野「そんなに人気ありませんよ・・・・フフフ」
こ、怖い事をさらっと言うなーーーっ!
やっぱり、裏Kanonの美汐は危険人物の一人だと思う。
真琴編 1月20日 完
あとがき:ふぃー。30分で書けました。切羽詰ってますー。もうすぐ学校ですー。じゅけんべんきょしませんでしたぁ。あははーっ。