「それ」は、水瀬家の冷蔵庫内で、静かにその時を待っていた・・・・・・。
〜水瀬家の朝〜
祐一「おはようございます・・・・・おわっ!」
秋子「おはようございます、祐一さん」
祐一「な、なんだこれは!?」
見ると、謎の物体が、テーブルに突っ伏して寝ていた。
祐一「なんだ、名雪か・・・・・・おい、起きろ名雪。朝だぞ」
名雪「くー」
秋子「さっきから呼んでるけど、全然起きないのよ」
祐一「よし、ここは・・・」
1.作戦その1
2.作戦その2
3.作戦その3
祐一(よし、ここは作戦その3でいくか)
祐一「秋子さん、「あの」甘くないジャム出してくれませんか?」
秋子「ええ、いいわよ(ニヤリ)」
そういうと秋子さんは、嬉々として冷蔵庫へ向かった。
祐一(あの「ニヤリ」が無ければ、いいんだけどな・・・・・・)
秋子「祐一さん、どうぞ」
あのジャムがテーブルに置かれた。ちなみに、色が変わっている。何故か、水色になっていた。
祐一(進化?まあいいか。)
恐る恐る蓋を開ける。蓋を開けたジャムはとてつもない威圧感を誇っていた。
祐一(まさか・・・このプレッシャーは・・・シャ○か!)
そんな冗談はさておき。そのジャムを名雪のトーストに塗りたくる。
そして、そのトーストを名雪の鼻先へ持っていく。
名雪「・・・イチゴジャム〜」
祐一「イチゴジャムはやっぱり美味いな(すまん、名雪)」
名雪「・・・イチゴジャム〜」
寝ぼけた名雪が、ぱくっとトーストにかじりつく。
もぐもぐもぐ・・・・・・
名雪「・・・・・・・・・・」
祐一「・・・・・・名雪?」
秋子「どうしたんですか、祐一さん?」
祐一「いえ、ジャムを食べたら名雪が突然寝言をやめて・・・・・・」
秋子「あらあら、どうしたのかしら」
名雪「・・・・・・・・・・・・」
祐一「なんか・・・・・・顔が青ざめてますね・・・・・・」
秋子「名雪、ひょっとして具合悪いのかしら?」
祐一(原因はわかってるんだけど・・・)
名雪「・・・・・・・ぐっ」
祐一「・・・・・・・あ・・・泡吹いた」
秋子「あらあら、これじゃ学校は行けそうにないわね。ごめんなさい祐一さん、今日は一人で行ってくれるかしら」
祐一「あ、は、はい。構わないですけど。そ、それじゃ、行ってきます」
俺は脱兎のごとく逃げ出した。もとい、登校した。
祐一(あのジャムは恐ろしすぎる・・・・・・一体あれは何で出来てるんだ!?これは検証しないとこっちがヤバイ!)
というか、解毒剤を作ればこれからは安心して謎ジャムが食べれるからだったりする。
〜放課後〜
祐一「北川、これから家に来ないか?」
北川「何か菓子が出るのか?」
祐一「出してやるとも」
北川「よし、じゃあ行く」
祐一(よっしゃ、実験台確保――――――――!!!)←何か間違ってる
祐一「じゃあ、これを食え」
北川「って命令形!?まあ、いいけど・・・・・・それじゃ、ありがたく頂戴するか」
ぱく。
北川が食べたのはもちろん謎ジャムだ。その殺傷能力を今一度確かめたい。
北川「・・・・・・ぐをっ!!」
泡を吹いて倒れる北川。
北川「あ、相沢・・・・・・お、お前、毒を盛ったな・・・・・・・・・・・・」
祐一「っていうか、それ自身が毒なんだけど」
北川「ありゃ」←断末魔
祐一「ふむ、少量でも致死量か・・・・・・」
その後、色々調べたが、詳しいことは分からなかった。
祐一「ええい、こうなったら直接秋子さんに聞くしかない!!!」←作戦の根本的間違い&本末転倒
祐一「秋子さん、実は、甘くないジャムの作り方を教えて欲しいんですけど」
秋子「企業秘密です」
祐一「そこをなんとか」
秋子「却下です」←1秒
祐一「秋子さんのジャムはいつ食べても美味しいですね」
秋子「了承」←0.5秒
祐一「で、どうやって作るんですか?」
秋子「基本は普通のジャムと一緒よ」
祐一(そりゃそうだ。基本から違ったらどうしようかと思ったぞ)
秋子「・・・何か考えました?祐一さん」
祐一「いえっ!別に何もっ!」
祐一(秋子さん・・・・まさか読心術使えるんじゃ?)
秋子「それで、イチゴジャムを作るところまでは一緒なのよ」
祐一「はあ・・・」
秋子「その後、寝かせるだけで完成よ」
祐一「・・・・・・・は?」
秋子「寝かせるのよ」
祐一「・・・寝かせるんですか?ジャムなのに?」
秋子「ええ。それがコツなのよ」
祐一「・・・それで、どのくらい寝かせるんですか?」
秋子「そうね・・・・・・1年間ぐらいかしら」
祐一「・・・」←混乱していて何も考えられない状態
祐一「・・・!」←思考回路が正常に戻った
祐一「えええええええぇぇぇぇっ!!!???」
祐一「あ、あ、あ、秋子さんっ!1年間も寝かすって、どういうことですか!」
秋子「それがコツなのよ」
祐一(いや、コツって言ったって、普通に腐ると思うぞ・・・・・・しかしまずい、これでは対策なんか取りようがないじゃないか!)
祐一「はあ、いや、参考になりました」
秋子「それで、最近作ったジャムがあるんだけど、食べませんか?祐一さん」
祐一「えっ!それって、甘くないジャムなんですか?」
秋子「いえ、それとは違うものよ。まだ試作段階ですけど」
祐一「はあ、それなら頂きます」
ぱくっ
祐一「うがっ!?」
ばたんっ!!!
祐一「あ・・・秋子さん、これって一体・・・・・・」
意識が薄れていく・・・・・・
秋子「ふう・・・・・・どうやら成功ですね」
秋子「実は・・・寝かせるというのは嘘です。ごめんなさい。本当は、あるものを入れるんです」
秋子「それは、「ぎゃ」・・・・・・」
俺が聞き取れたのはそこまでだった。
・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
祐一「はっ!」
気がつくと、自分の部屋だった。
しかも、その前の記憶がとんと思い出せなかった。
祐一「あれ・・・・?おかしいな・・・何か重大な秘密を聞いたような気がしたんだが・・・・・・」
ふと、時計を見ると、もう七時半を指していた。
祐一「うわっ!やばいっ!早く着替えないと!」
だんだんだんだんだんだん・・・・←階段を降りている
祐一「おはようございます・・・おわっ!」
秋子「おはようございます、祐一さん」
祐一「な、なんだこれは!?」
見ると、謎の物体が、テーブルに突っ伏して寝ていた。
・・・・・・以下エンドレス。
完。
後書き:謎ジャムの真相にせまるSSでした。秋子さんの言ってた「ぎゃ」って、なんなんでしょうね?(笑)北川と名雪はどうなったかは定かではありません。逝ったかな?(爆)