寝る子は育つ?
*注意*
まず、「Kanon」」をやらないと話が見えてきません。Kanonをやってからじっくり読みましょうね(爆)

あと、夜中にばかり書いてたのでいろいろおかしくなってます、自分が。SS初心者ってことで許して下さい。(苦笑)
  

 その日の朝、相沢祐一は一人で学校に来た。
越してきたころはうろ覚えだった道順も、今では目をつぶってでも行ける。
いつもより8分ほど早く学校に着いてしまった。もっとも、祐一一人なら普通はこうなのだが・・・・・・・。
教室へ行くと、香里がいた。
「おっす、香里」まず祐一が声をかけた。
香里は祐一の登校の早さに一瞬驚いていたが、すぐに、
「あら、おはよう相沢君」と返してくれた。そしてすぐにあることに気づくと、
「あれ、名雪は?いつも一緒じゃないの?」
「いや、この教室のどこかに潜んでる。名雪は潜伏が上手いからな」
「冗談ばっかり」香里もいつもの祐一の冗談にも馴れてきた様だ。笑って答える。
「で、どうしたの本当に?」香里が不思議そうに尋ねると、
「家で寝てる・・・・・・・・」
はぁ〜、とため息をつきながら祐一が答えた。
「起こしてこなかったの?」
「起こしたさ。でも起きないんだからしょうがないだろ」
「そんな簡単にあきらめるなんて薄情者ね。それでも名雪のいとこなの?」香里がすこし意地悪そうに言う。
「いや、あれは普通じゃない」祐一が言うと香里はますます口を尖らせて
「そりゃ、名雪が普通じゃないのは十分承知してるけど・・・」
前は一緒に登校していたものの1週間で挫折しただけに香里の言葉には説得力がある。
「いや、今回はもっと普通じゃない」
「じゃ、なんだって言うのよ」香里は訳がわからない、といった表情で聞いた。
祐一は真剣な表情で、
「このままだと、ギネスにも載りかねない」
「え?」
香里は持っていた教科書類を危うく落としそうになった。


「くー」 
水瀬名雪は、水瀬家の自室で安らかな寝息をたてていた。
部屋には幾数もの目覚し時計が所狭しと並んでいる。名雪の横にはかえるの人形「けろぴー」が置かれていた。
何もかも普通の状態である。ただ、当の名雪が昨日の9時から18時間眠り続けていることを除けば。
「朝からぜんぜん目を覚まさないんですよ・・・」
そう言って秋子さんは首を横に振った。さすがに名雪がこの状態では仕事に行く気にも慣れないだろう。
今ここには祐一と香里が来ていた。
名雪が、目を覚まさない・・・・・・・・。
1日12時間眠ることもあったが、それでもこれだけ深い眠りは初めてだ。
なにしろ、祐一得意の「作戦その2」さえも失敗に終わってしまったのだから。
とりあえず寝ているだけなのだがせめて原因をつきとめておかなければならない。
「他の起こし方は試してみたの?」
「名雪の顔にジャムを塗ることか?」この状況でもボケるのか祐一は。
「ダメですよ、食べ物を粗末にしたら」
秋子さんのこの忠告がないと祐一は本気でやりかねないだろう。
「俺、ちょっと外行って考えてくる」そう言うと祐一は、商店街に向かった・・・・。


「名雪を起こす方法ねえ・・・・・」祐一は悩んでいた。
7年前も良く名雪は寝ていた。その甲斐があって祐一は名雪の起こし方についてはプロ級だったのだが・・・・・・。
実は、過去に名雪を起こした方法を全て試してみたのだが、全く効果が無かったのだ。
「顔にジャムは自信あるんだけどなあ・・・・」
本気で考えていたらしい。
そんな考え事をしていたもんだから、後ろからやってくる突進物には気づくわけもない。いや、普通でも気づかないが。
「ゆ、祐一君〜〜〜!」「え?」
ドシンッ!!!
気づくと、後ろを押されていた。背中に羽の生えた女の子に。
「うぐぅ、祐一君、毎度のことだけど、避けてぇ・・・・。」
「なんだ、あゆか」
「うぐぅ、なんだじゃないよう・・・・。」
「後ろから飛びかかってきて避けれる訳ないだろ」
「うぐぅ、飛びかかってないもん!」
そして後ろを振りかえると、
「あっ・・・・・」
「とりあえず逃げるよっ!」祐一の手を取って走り出した。
「またやったのか!?」祐一は半ば呆れた声を出した。
「今度は違う店だよっ」
「それでも同じだっ」
「うぐぅ・・・・・・・」
「それに、何で俺までっ」
「2度あることは3度あるんだよっ」
「意味が違うっ!!」


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、・・・・」とりあえず、商店街の中で振りきったようだった。
「なんで俺があゆに誘拐されなきゃならないんだ・・・」
「祐一君、人聞きが悪いよぉ・・・・」
あゆが拗ねていた。これ以上からかうとマズイので祐一は良いことを思いついた。
「なぁ、あゆ。寝ている人間を起こすときって、お前ならどうする?」
「たい焼きで誘うっ!」
「それはお前だけだろっ!」
「うぐぅ・・・・・・祐一君、いじわる・・・・」
「それに、似たようなことはさっき名雪にすでに試した」
「ふぇ?名雪さん、寝てるの?」あゆが盗品の(あゆ「盗品じゃないもん」)たい焼きをほおばりながら祐一に聞く。
「ああ。しかも、ギネスにのりそうなほど寝てる」
「ふぇんふぇんふぉふぃふぁいふぉ?」
「食ってから喋れっ!」
ちなみに「ぜんぜん起きないの?」と聞いている。
「なにしろ18時間寝てるからな・・・・・・・」
「寝る子は育つって言うよ?」
いや、そういう年齢じゃないだろ俺達は・・・・・、と祐一は思った。
「なんか、他に理由があるのかなあ・・・」
「うーん・・・・・・・」
「ところで、お前はまた探し物か?」
「うん、今日こそ思い出して見つけるんだ」
「俺は今日は名雪があんな状態だから手伝えないけど・・・」
「うん、分かったよ。祐一君も頑張って名雪さん起こしてねっ」
「ああ、またな、あゆ」
そして、祐一は皆の待つ水瀬家へ帰った。


「ただいま〜」祐一が帰ると、香里はすでに帰ったようだった。
「祐一さん・・・・・・」秋子さんがなにか分かったと言うような顔で祐一を呼んだ。
「どうしたんです、秋子さん?」
「実は、名雪の枕元に、こんなものがあったの」
そう言って差し出されたものは、普通の市販の風邪薬だった。
「どうやら名雪、これを飲んだらしいのよ」
「え?」
「それで、市販の薬には、服用したらすぐに眠れるように工夫がしてあるでしょう?」
「ええ、そうですけど、まさか・・・・・・・」
と言ったところで、うにゅ・・・という微かな声が聞こえた。
「名雪?」
「名雪か!?」
見ると、名雪がぼ〜っとした表情で祐一達を見ていた。
「あれ、おかあさん、それに、祐一も・・・・」
「なんで、みんなしてわたしの部屋にいるの・・・・?」
「お前、19時間も眠ってたんだぞ」
「え?」
そういうと名雪は手元のめざまし時計をみて、
「わ。・・・・・・・びっくり」
と、相変わらずびっくりしてなさそうな声をあげた。


「わたし、昨日は帰ってきてから熱っぽくて・・・・」
ここは、水瀬家のリビング。名雪が昨日の状況説明をしている。
「それで、風邪ひくといけないから風邪薬飲んで・・・・・」
「そしたら、急に眠くなって・・・・・」
「つまり、薬特有の眠くなる成分の所為でこんなに寝ていたというわけなんだな?」
「うん、そうみたい・・・・」
普段から眠りやすい名雪のことだから、普通の人の倍以上効いたのだろう。
「まったく・・・・・・・・」祐一は安堵とため息が一緒に出た。
「でも、何でもなくて良かったわ」秋子さんも安心したようだ。
「うん、ごめんね、おかあさん。心配かけちゃって」
「それに、祐一も」
「もうちょっと起きるのが遅かったら顔にジャム塗ってたところだったぞ」
「うん・・・気をつけるよ」
ちなみに、気をつけるとかいうレベルではないと思う。
「名雪、祐一さんが一番心配してくれたのよ」
「え?」
「あっ、秋子さんっ!」思わず顔が真っ赤になる祐一。
「さあ、夕飯の準備しなくちゃね」そう言うと秋子さんは夕食の仕度をしに行ってしまった。
「・・・・・・・・・」
「祐一・・・・・・・」
「あ、いや、それはだな、その」
「ありがとう、祐一」
にっこり微笑む名雪。
ますます祐一は照れて、
「も、もうこんな騒ぎ起こすなよ」
「そしたら、祐一はまた心配してくれる?」
「ばっ・・・・、馬鹿なこと言ってないで、さっさと寝ろっ」
「わたし、今起きたばかりだよ〜」それでも名雪はうれしそうだ。
やがて、
「二人とも、夕飯出来たわよ」
「あ、はいっ」「うんっ」
その日は、祐一はまともに名雪の顔を見れなかった・・・・・・・・・・・・・。
               END

解説:ぐはぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!恥ずい!恥ずかしすぎる!!!ぐわぁ〜〜皆さんこれで許してくださ〜〜い!

もともとこういうのは苦手です。次はもっと壊れた作品を作ろうと思います。ええ、壊れますとも(やけくそ)