名雪「外、寒いよね・・・・」
祐一「そりゃ、これだけ雪が積もってるんだからな・・・」
名雪「・・・あの子、何してるんだろうね」
祐一「あの子?」
名雪の見つめる先。
結露の浮かんだ窓ガラスの向こう側に、うっすらと人影を見て取ることができた。
・・・・・・・・・ウエイトレス姿で。
しかも半そで。
名雪「・・・・寒くないのかな?」
・・・いや、寒いだろう。
名雪「誰かな?あんなところで何をしてるのかな?」
祐一「・・・たぶん、風邪で学校を休んでいるにも関わらずこっそり家を抜け出してきたこの学校の1年生だろう」
名雪「祐一、知ってる人?」
名雪が不思議そうに首を傾げる。
祐一「・・・俺、ちょっと行ってくる」
名雪「えっ?」
祐一「名雪は先に戻ってていいぞ」
名雪「どこ行くの?」
祐一「外」
名雪「地雷に気をつけてね」
祐一「おう。・・・・って、おいっ!地雷があるのかっ!?」
名雪「うん。気をつけてね〜」
名雪は、のどかに手を振っていた。
昇降口で靴を履き替えるのももどかしくて、上履きのまま外に飛び出す。
まっさらな雪、そしてその先・・・。
栞「いらっしゃいませ!Piaキャ○ットへようこそ!」
祐一「待てっ!」
それは違うゲームだっ!
★ ★ ★ ★ ★
祐一「それで、今日は何の用なんだ?」
栞「祐一さんを暗殺に来ました」
冗談めかして・・・という風でもなく、穏やかに微笑みながら俺の方を真っ直ぐに見る。
・・・・っていうか、今なんて言った!暗殺っ!?
栞「ご迷惑ですか?」
俺が黙っていたためか、不安そうに言葉を続ける。
祐一「いや、別に構わないけど・・・・」
って、構わないのか、俺はっ!?
栞「祐一さん、雪だるま作りませんか?」
祐一「もしかして、今からか?」
栞「はい、今からです」
すくいあげた雪を手の中に納めたまま、そっと立ちあがる。
さらさらとした粉雪が、小さな指の隙間から砂のように流れ落ちて行く。
都会では決して見られない風景だった。
祐一「この地方に住んでるのなら、雪だるまなんか作り飽きてるんじゃないか?」
栞「小さな雪だるまじゃないです」
栞「もっと小さな雪だるまです」
栞「私ひとりだと、少し小さなものしか作れませんから」
祐一「小さいのって、どれぐらいだ?」
嫌な予感がする。
栞「全長10ミクロンです」
祐一「作れるかっ!」
どんな雪だるまだっ!
★ ★ ★ ★ ★
栞「祐一さん、雪合戦しませんか?」
祐一「雪合戦?」
栞「はい、雪合戦です」
手に持った雪玉を地面に置いて、足下の雪をもう一度かき集める。
そして、おむすびを作るように、ひとつひとつ丸めていく。
栞「・・・よいしょ、よいしょ」
楽しそうに作業している。
祐一(まぁいいか・・・)
栞の白い肌と赤くなった手のひらを見ていると、時間までなら付き合っていいかなと思う。
祐一(それにしても・・・・)
雪だるまの次は雪合戦か・・・。
もしかすると、遊びたいのかもしれないな。
家の中ではなく、外で、思いっきり・・・。
栞「祐一さん」
雪を丸めていた栞が、顔を上げる。
栞「雪玉の中に催涙弾を入れても良いですか?」
怖いことをさらっと言う。
っていうか、催涙弾はまずいだろっ!
祐一「ダメだ!」
栞「ダメですか・・・?」
祐一「当たり前だ?」
栞「じゃあ、ニトログリセリンはどうですか?」
祐一「もっとダメだっ!」
っていうか、作っている最中に爆発するだろっ!
栞編 1月11日 完
評:すいません今眠いです。もう勘弁して(笑)