栞編 1月23日

プルルルルル・・・・・・

名雪「電話?」

ふたりで同時に、リビングに置いてあるコードレスの電話を見る。

受信を知らせる赤いランプが、呼び出し音に合わせて点滅していた。

祐一「いい、俺が出るから」

立ちあがりかけていた名雪を制して、代わりに受話器の前に立つ。

祐一「えっと、水瀬だよな?」

名雪「この時間は県立桜ヶ丘中学

ちょっと待てっ!何だ、県立桜ヶ丘中学って!?っつーか、意外とありそうな名前・・・・・・

 

電話で香里に呼び出された俺は、真夜中の学校へと向かった。

夜の学校は、想像していた以上に寂しくて冷たい場所だった。

揺れる木々のざわめきと、揺らす風の足音。

歩道に配された街灯が青白く光り、足下をほのかに照らしていた。

閑散という言葉がしっくりくる。

閉ざされた昇降口。

闇に溶ける廊下のガラス。

浮かび上がる枯れ木の影。

ゆっくりと流れる薄黒い雲。

そして・・・・・・・。

けろぴー「・・・・・・・」

街灯の下に、けろぴーがただ立っていた。

制服姿のけろぴーが、俺の姿を見つけて視線だけを動かす。

真上からの照明に照らし出されて、落ちた影が四方に散らばる。

冷たい真夜中の風に揺れる髪を押さえることもなく、無表情で俺の視線を正面から見据える。

っつーか、何故けろぴー!?

良く見ると、けろぴーの顔に何か紙が張ってあった。

「忍法変わり身の術 By香里」

祐一「これだけのために呼び出すなーっ!」

でも、裏Kanonでも一応、栞は次の誕生日まで生きられないという設定になっているのだった。

1月23日 完

あとがき:今日は「香里デー」ということで(爆)