栞編 1月24日

栞「ここは、夜の方が綺麗ですよね」

四方を囲む街灯のオレンジに照らされて、一人の少女が微笑んでいた。

地面に落ちる半透明の影が、少女を中心に四方に伸びている。

祐一「俺は寒いから昼の方がいいな」

栞「残念です」

穏やかな表情のまま、くるっと俺に背を向ける。

その前方には、光を浴びて輝く噴水が、以前と同じ佇まいを見せていた。

栞「・・・・噴水、こんな時間でもちゃんと動いてるんですね」

祐一「止めたら凍るからな」

栞「あ・・・それでなんですね」

祐一「噴水は、見てると余計寒くなるから嫌いなんだけど・・・・・・」

祐一「どこかに栓とか無いか?」

栞「そんなのないですよ」

栞「あっても、止めたらダメです」

祐一「・・・・・」

栞「噴水が、祐一さんの寿命と同じなんですから

祐一「嘘っ!?」

栞「嘘ではないです。試しに、止めて見ましょうか?」

祐一「や、やめろっ!」

案外、ホントそうなので怖かった。

 

祐一「・・・・話してくれるのか?」

栞「・・・はい」

視線を夜の公園に向けたまま、言葉を続ける。

聞きたくなかった。

知りたくなかった。

だけど、それが事実であるならば、俺はその事実を知りたい。

栞の・・・・俺が本当に好きな人から、直接。

栞「祐一さん、ごめんなさい」

祐一「・・・・・・」

謝罪の言葉を、無言で受け止める。

今、自分がどんな表情をしているのか、俺には分からなかった。

栞「私、祐一さんに嘘ついてました」

祐一「本当は風邪なんかじゃなかったんだろ?」

栞「はい・・・・」

栞「本当は、もっともっと重い病気・・・・・」

栞「シャクティパットをされても治らない病気・・・・

そりゃ治らないだろ!!

っつーか、栞ってライフス○ース行ってたんか!?

 

祐一「何の病気なんだ・・・?」

栞「病名・・・・ですか?」

初めて俺のほうを見つめて、

笑顔で、

悲しいくらいの笑顔で、

栞「えっと・・・覚えてないです」

にこっと微笑む。

栞「何か、難しい名前だったことは覚えていますけど」

祐一「・・・・・・・」

栞「うぐぅ語でかかれていましたから

それ、読めなかったんじゃないのか?

 

栞「祐一さん、一つだけ約束してください」

祐一「・・・・・なんだ?」

栞「私のことを、妹(義理)として扱ってください

祐一「何故っ!?」

久しぶりに妹ネタが出たな・・・・・

1月24日 完

あとがき:うーむ・・・・・・栞シナリオのラストが思いつかんなあ・・・・・・