栞「ここは、夜の方が綺麗ですよね」
四方を囲む街灯のオレンジに照らされて、一人の少女が微笑んでいた。
地面に落ちる半透明の影が、少女を中心に四方に伸びている。
祐一「俺は寒いから昼の方がいいな」
栞「残念です」
穏やかな表情のまま、くるっと俺に背を向ける。
その前方には、光を浴びて輝く噴水が、以前と同じ佇まいを見せていた。
栞「・・・・噴水、こんな時間でもちゃんと動いてるんですね」
祐一「止めたら凍るからな」
栞「あ・・・それでなんですね」
祐一「噴水は、見てると余計寒くなるから嫌いなんだけど・・・・・・」
祐一「どこかに栓とか無いか?」
栞「そんなのないですよ」
栞「あっても、止めたらダメです」
祐一「・・・・・」
栞「噴水が、祐一さんの寿命と同じなんですから」
祐一「嘘っ!?」
栞「嘘ではないです。試しに、止めて見ましょうか?」
祐一「や、やめろっ!」
案外、ホントそうなので怖かった。
祐一「・・・・話してくれるのか?」
栞「・・・はい」
視線を夜の公園に向けたまま、言葉を続ける。
聞きたくなかった。
知りたくなかった。
だけど、それが事実であるならば、俺はその事実を知りたい。
栞の・・・・俺が本当に好きな人から、直接。
栞「祐一さん、ごめんなさい」
祐一「・・・・・・」
謝罪の言葉を、無言で受け止める。
今、自分がどんな表情をしているのか、俺には分からなかった。
栞「私、祐一さんに嘘ついてました」
祐一「本当は風邪なんかじゃなかったんだろ?」
栞「はい・・・・」
栞「本当は、もっともっと重い病気・・・・・」
栞「シャクティパットをされても治らない病気・・・・」
そりゃ治らないだろ!!
っつーか、栞ってライフス○ース行ってたんか!?
祐一「何の病気なんだ・・・?」
栞「病名・・・・ですか?」
初めて俺のほうを見つめて、
笑顔で、
悲しいくらいの笑顔で、
栞「えっと・・・覚えてないです」
にこっと微笑む。
栞「何か、難しい名前だったことは覚えていますけど」
祐一「・・・・・・・」
栞「うぐぅ語でかかれていましたから」
それ、読めなかったんじゃないのか?
栞「祐一さん、一つだけ約束してください」
祐一「・・・・・なんだ?」
栞「私のことを、妹(義理)として扱ってください」
祐一「何故っ!?」
久しぶりに妹ネタが出たな・・・・・
1月24日 完
あとがき:うーむ・・・・・・栞シナリオのラストが思いつかんなあ・・・・・・