東方野球狂 〜Go mad to baseball


第3話


「不合格」
「………すまん、よく聞こえなかったぜ」
「えーい、これで何度目だ!!不合格だって言ってるだろうがー!!」
キャッチャーミットを構えて座ったまま、俺は言い放った。
「おいおい、冗談だろ?」
「何が冗談なもんか。見ろ、これを」
そう言って俺は、俺の周りに散らばっているボールを指さした。
………全て、さきほど霧雨が投げたボールの結果だ。
「一度もミットに来ないとは………お前のコントロールはどうなってんだ」
「でも威力は折り紙付だぜ」
「ああ、威力は、な」
確かに、霧雨のストレートの威力はバツグンだと思う。
その前に投げた風見・伊吹に負けないぐらいのボールのキレはある。
だが………
「ストライクが入らなきゃ、全くの無意味だな」
「む」
「しかも変化球も投げられないんだろ?」
「むむ」
「いくらストレートに威力があっても、それだけじゃいつか打たれる」
「むむむ」
難しい顔で唸る霧雨。
まあ、普通これだけ正論で攻められたらぐうの音も出ないだろう。
「………それでも、諦められないぜ」
「ん?」
霧雨の小さな一言は、しかし確かに俺の耳に届いた。
「諦められないか、霧雨」
「当たり前だぜ!!」
「どーしてもか」
「どーしてもだぜ!!」
今度は大きな声が返ってきた。
「そうか………」
どうやら、負けん気だけは人一倍らしい。
思わず俺は、腕組みをして考えていた。
(ふーむ………この性格はピッチャー向きなんだよな)
他のポジションにはあまり関係がないが、ピッチャーに関しては「俺が抑える!!」の気持ちがある程度必要となる。
それぐらい気持ちが強くないと、ピンチの場面ではやっていけないだろうから。
霧雨の目を見ていると、ピッチャーをやらせてもいい気がしてきた。
なんかこう、コイツの雰囲気というか、何かをやってくれそうな感じがするんだよな………。
だが、ただでやらせたところで、さっきのような独り相撲になるのがオチだ。
「わかった、条件を付けよう」
「え………条件?」
俺の言葉に、霧雨はきょとんとした顔をした。
「ああ。とりあえず霧雨、今すぐお前をピッチャーにするのは無理だ、諦めろ」
「なっ………!!」
途端に、霧雨の表情が変わる。
けんかっ早いな、コイツ。
「まあ落ち着け。話は最後まで聞け」
「むぅ………で、なんだよ?」
「ピッチャーとして、お前の課題はなんだ?言ってみろ、霧雨」
「え………」
霧雨は少し考え込み。
「………ひょっとして、コントロール、か?」
「よし、その通りだ」
それぐらいは分かってるみたいだな………。
「つまりだ。コントロールさえ付けられれば、ピッチャーとして申し分ない、そうは思わないか?」
「………おお」
ぽん、と手を打つ霧雨。
「そういうことだ。頑張って練習して、ストライクを投げられるようになってくれ」
「なーるほど………さすが伊達に長いこと生きてないな!!」
「ほっとけ。だが、それまではお前は外野手だからな。外野手としての練習もしておけよ」
「えー」
「えー、じゃない。これは厳しい道だが、お前なら出来ると踏んだんだ。期待してるぜ、未来のエース」
「え………み、未来のエース?私が?」
エース、という言葉に釣られたか、途端に表情が明るくなる霧雨。
「未来のエースか………ふ、ふふ、エース………いい響きだぜ」
「おーい、帰ってこい霧雨」
なにやらエースという言葉に凄いことを想像しているようなので、現実に引き戻す。
「お、おう!!任せておけって!!………でも、コントロールを良くするのってどうやるんだ?」
頭から大きいクエスチョンマークをひねり出しながら首をかしげる。
「ああ、コントロールが悪い原因は色々あるが………お前の場合、まず下半身を鍛えるところからだな」
「下半身?」
「うむ。お前の投げ方は上半身だけで投げてるからな。もっと下半身を鍛えて安定させないと、軸がぶれて一定のところにボールが投げられなくなる」
「へぇ………そうだったのか」
早速メモを取る霧雨。こんな時にもメモを持ち歩いているのか………。
「ここを鍛えるだけでもだいぶ違うぞ。それに、下半身を鍛えれば球の威力も増すからな、一石二鳥だ」
「そりゃあいいぜ!!よし、早速やるか!!」
早速グラウンドの走り込みを開始する霧雨。
やれやれ、泣いたカラスが………とはよく言ったものだ。
「あ、おい、あまり無理はするなよ。何事もほどほどにな」
「分かってるぜー!!」
と言いながら、明らかな全力で走り出している。
「うおおおおお!!野球はやっぱりパワーだぜ!!」
「あちゃあ………まあ、いいか。体力だけは有り余ってそうだしな」

そのほかのポジションは、おおむね適性人数に収まる形となった。
まずはキャッチャーだ。
バシィッ!!
「セカンドッ!!」
ボールを受け取り、すぐさまセカンドへ送球する。
ビュンッ!!
だいたい、プロのキャッチャーがボールを受け取ってから投げるまでに要する時間は平均して2.0秒ほどだ。
そして、このキャッチャー………「八意 永琳」は、それを2.1秒で投げて見せた。
しかも、二塁送球はストライク。
「………すごい肩してるな」
そう言うのが精一杯だった。
「あら、そう?」
まるで大したことない、とでも言いたげに八意は素っ気なく言う。
「意外と簡単ね、キャッチャーって」
「………おいおい、キャッチャーをあんまり舐めて貰っちゃ困るぜ」
俺が思うに、キャッチャーは第二の監督である。
試合中、ただ一人だけ他のナインとは逆方向を向き、試合全体を管理しなくてはならない。
守備陣に指示を出し、ピッチャーにサインを出し、盗塁を刺し。
他の守備位置に比べれば、相当な重労働だ。
「………キャッチングだけじゃない。キャッチャーの真価はインサイドワークで問われるんだからな」
「勿論、それは理解してるつもりよ」
「ならいいんだが………で、もう一人のキャッチャーのアイツは何やってんだ」
言いながら、俺は指さした。………後ろのベンチで優雅に麦茶をすすっている蓬莱山輝夜を。
「………あれは放っておいていいわ」
八意が、半ば諦めた風に呟いた。
しかし、あれでは他のヤツに示しがつかん。
俺はつかつかと蓬莱山のところへ歩いていった。
「………おい、蓬莱山」
「あら、監督さん。どうしたのかしら?」
「どうしたのじゃないだろ。お前何暢気に麦茶飲んでるんだよ」
「だって、暑いんですもの」
………なんだこの答えは。
「とりあえずお前の答えが意味不明だ。それと、お前キャッチャー志望だったろ。練習しろ練習を」
「え?永琳がいるからいいじゃない。私は控えでいいわ」
………こいつ本当に野球部希望者なのか。
「頼むから、自分から控えに甘んじるなよ。だいたい、何でキャッチャーを選んだんだよ」
「座ってるだけで楽そうだったから」
もう控えでいいかな、こいつ。
「………もう勝手にしろ。だが、八意にもしものことがあればお前しかキャッチャーが居ないんだからな。練習だけはしとけよ」
「大丈夫よ。永琳は丈夫だから」
丈夫でも万が一があるだろ………。
蓬莱山は相も変わらず、お茶をすすっている。
こいつこそスコアラーにしたほうがよかったかなぁ………

「ファースト行くぞ!!」
カキィンッ!!
久々に握ったバットで、ファースト目がけゴロを打つ。
それほど強いゴロを打ったつもりはないが、ファーストを守る藤原妹紅は難なくそれを捌いていく。
「おお、なかなかいいフィールディングじゃないか」
「そりゃどーも。………さ、続けてくれよ」
ファーストミットをばしばしと威勢良く叩く藤原。
「ははは、やる気があるのはいいことだけどな。最初から飛ばすと後が持たんぞ」
そう俺が言うと、藤原はニヤリと笑った。
「大丈夫さ。タフさには自信があるんでね。どんどん続けてくれ」
その藤原の言葉は、後に行う地獄の猛特訓にて、本物だと言うことが明らかになる。

キィンッ!!
「はっ!!」
パシィッ!!
痛烈なゴロを横っ飛びで掴む。
「む………!!」
打った俺が、思わず唸った。
それほど、この女子―――紅美鈴の守備が上手かったからだ。
「やるな、紅。今のを取れるとは思わなかったぞ」
「普段から、鍛えてますから!!」
鍛えてどうにかなるものでもない気がするが………まあいいか。
「でも、咲夜さんのほうが上手いですよ」
「なに?」
咲夜………十六夜咲夜のことか。
「ちょっと美鈴、焚きつけないでよ」
その当の本人が少し苦笑しながら言う。
しかし、満更でもなさそうだ。
「ならば十六夜、ちょっと試させて貰うぞ」
「お好きにどうぞ、監督」
十六夜は腰に手を付けて立ったままだ。
(おいおい、守備の体勢じゃないぞアレは………)
普通、守備に就く際は中腰になる。打球に反応しやすいからだ。
(よっぽど自信があるってことか………よし)
俺は鋭くバットを振る。
カキィンッ!!
紅の時よりも鋭い打球が十六夜へ襲いかかる。
抜けるか………そう俺が思った時。
ぱしっ!!
十六夜は、難なく打球を捌いていた。
「なんだ、あんな簡単に取るなんて。もっと厳しいところへ打ってくれよ監督」
いつの間にか俺の横に来ていた霧雨が、何も知らずにからからと笑う。
「………笑い事じゃないぞ、霧雨」
「え?」
「今の打球は、高校野球レベルならば横っ飛びに飛びついてギリギリ追いつけるかどうか、という打球だ」
俺の背中を冷や汗が流れ落ちる。
「それが、どうしたよ?たまたま打球に近い守備位置にいただけだろ?」
「それは違う。俺が打つ瞬間まで、十六夜は通常のショートの守備位置にいたんだ」
つまり、打球に対して横っ飛びをするまでもなく、真正面で打球を受けたということになる。
「ダイビングキャッチとかをよくファインプレーと言ったりするが、厳密には違うんだ。
 今の十六夜のような、難しい打球を当たり前のように捌いてしまうのが、本当のファインプレーなんだよ」
そこまで聞いて、十六夜が深く一礼した。
「お褒めにあずかり、光栄ですわ」
「いや………お前のその打球に対する反応は、まさに天性のものだ。………お前は、ショートをやるために生まれてきたと言っても良い」
「それは誉めすぎですよ、監督」
そう十六夜は言ったが、最早俺の耳には入っていなかった。
(この二遊間は………どこの名門女子校にも負けないぞ。ひょっとしたら………これは凄いチームになるかもしれん)
「あのー………私のノックは」
その横で、鈴仙・優曇華院・イナバが困ったように立ちつくしていた。
「うわっ!!す、すまん鈴仙」
鈴仙の動きも初心者にしては図抜けていたが、やはり十六夜には適わないようだった。
(でも、いい動きしてるな………これなら十六夜に何かあっても大丈夫かな)

サード希望者は、魂魄妖夢と上白沢慧音の二人。
どちらも、非凡な守備能力を見せてくれた。
「………でもな、魂魄。お前のその打球の取り方、どうにかならんか?」
「と言われましても………クセのようなものでして」
魂魄の言う「クセ」とは、ライナーをグラブでたたき落としてしまうという、ある意味器用なクセだった。
聞けば魂魄は剣術を習っているらしく、つい向かってくるものを得物(つまりグローブだ)で斬ってしまうらしい。
当然グローブでは切れるわけがないので、たたき落とす格好になるわけだ。
「まあ、打球反応が良いっつーことだから、全く悪いわけでもないけどな」
「すみません………なんとか直すようにします」
魂魄はぺこりと頭を下げた。

さて、後は外野か。
「まずは………射命丸!!行くぞ!!」
一番手の射命丸文に向かって言い放つ。
「はい、どうぞー!!」
射命丸も大きく手を振る。準備はOKのようだ。
「そりゃあっ!!」
外野目がけ、大飛球を打ち上げる………が。
「あ、やべっ!!」
打球が思ったよりも左に逸れていく。
こりゃ取るのは難しいだろう。
「射命丸ー、そのフライは捕らなくて良………………え?」
捕らなくて良い、と言おうとした矢先。
射命丸が凄まじい速度でフライに追いついていく。
「これぐらい………楽勝ですよッ!!」
ぱしっ!!
ジャンプ一番、しっかりと左手のグラブにボールをつかみ取る。
「と………捕りやがった」
その一部始終を、俺は呆然と見つめていた。
「どうです?私の足は?」
いや、速すぎるだろどう考えても。
そうして、俺が射命丸の足に驚かされたその余韻が残ってるうちに、さらなる衝撃を俺が襲った。
レミリア・スカーレットだ。
「行くぞレミリア!!」
「いつでもいいわよ」
「それっ!!」
キィンッ!!
今度は痛烈なゴロをレミリア目がけ打つ。
「レミリア!!バックホームだ!!」
「なによ、バックホームって」
少しぎこちない動作でボールを掴んだレミリアは、そのまま立ちつくす。
「言ってなかったっけか。俺のいるところ………つまりホームだ、そこまでボールを返せ」
「ふうん………」
「届きそうに無ければワンバウンドでも構わんぞ」
言いながら、俺はどう頑張ってもノーバウンドは無理だと思っていた。
そもそも女子選手は肩が弱い。
さらにこの距離だ。男でもノーバウンドで返せるヤツは少ないのだから、女子では言わずもがな………そのはずだった。
………が。
「こんな距離、どうってことはない!!」
小さな体を屈めたかと思うと、全身のバネを使って槍投げのようにボールを投げた。
ビュウンッ!!
「んなッ!?」
バシィッ!!
気がつくと、俺のグラブにボールが収まっていた。
「ふん、こんな練習じゃ意味が無いわ」
つまらなさそうにレミリアがうそぶく。
「こ、こいつ………なんつー鉄砲肩だよ」
アメリカじゃ「キャノンショルダー」なんて言うが、まさにコイツがそうだな………。
続いては、八雲藍。
「それッ!!」
足は射命丸に及ばず、肩はレミリアに及ばないが、それでも両者にはないバランスの良さを披露してくれた。
「うん、いいぞ八雲!!さすがは校長の娘だ」
「いえいえ、それほどでも」
野球とは関係ないが、性格も良さそうだ。
「ところで監督………一つ頼みが」
「ん?なんだ?」
俺が頷くと、八雲はずずっと顔を近づけて。
「橙をレギュラーにしてほしいんですが」
「………なに?」
「………橙は是非ともレギュラーにするべきです」
橙か………。
まだ外野手としての適性を試してはないが、どうして八雲はここまで橙を薦めるのだろうか。
「おい八雲、そこまで橙を薦める理由は何だ?」
「何故かと?そんなの決まってるではないですか」
「お、おう」
なんだ、そんなに凄い人材なのか橙は。
「何と言っても橙はかわいい!!」
「………は?」
一瞬思考が停止してしまったが、なんか凄いことを言われた気がする。
「なに?橙が可愛いだと?」
「ええ、当たり前です。こんなかわいい橙をレギュラーにしない手はありません!!」
「………なあ、八雲」
「なんですか」
自信満々な八雲にこういうこと言うのは気が引けるな………でも言わなきゃな。
「その………橙を薦める理由って、可愛いだけか?」
「「だけ」とは何ですか!!それだけで十分でしょう!!」
ただでさえ近い八雲の顔が余計に近くなる。
「あ、ああ、分かった分かった。考えてみるよ」
「考えるまでもないです!!今すぐ橙をレギュラーにしてください!!」
「し、しつこいなお前………じゃあ、今から橙の適性を見るから。外野手として十分な適性を持っていれば俺も文句はないしな」
「望むところです!!お任せください」
なぜお前が胸を張る………。
で、肝心の橙は。
「にゃっ!!うにゃっ!!」
「………八雲、橙のやつ、ボールを追っかけるのはいいんだが、一向に捕る気配が無いぞ」
「可愛いから良いじゃないですか」
「良い訳あるかあっ!!」
橙は控えだな、こりゃ。
そして、投手を保留した霧雨と、投手をあきらめた伊吹も外野を希望していた。
「行くぜッ!!」
霧雨は投手としてなかなかのストレートを投げていただけあって、地肩もたいしたものだった。
「………でも、やっぱりコントロールは最悪なのなお前」
ホームからかなり離れたところでボールを受けつつ、俺はつぶやいた。
「それが個性ってもんだぜ♪」
霧雨の言葉に、俺はため息をつかざるを得なかった。
(まあ、守備力は人並みにあるからな………なんとかなるか)
そして伊吹は。
「肩はレミリアと同レベルかそれ以上………なんだが、どこ投げてんだお前」
「………………てへっ♪」
「笑ってごまかすな。さすがにフェンスを越える球を投げられるとは思わなかったぞ」
裏返せば、それだけ力強い球を投げる訳だが………
「全力で返そうとせず、8割ぐらいの力で投げるようにしろ。お前の場合はそれぐらいでも十分な強肩になる」
「うーん………力を抜くの嫌いなんだけどなあ」
いや、そうしないとキャッチャーが取れないだろ。

「さて………これで全員か?」
俺は全員を集めて確認する。
「かんとーく!!あたいの出番が無いわよ!!」
「あ、何か忘れてると思ったらチルノか。………あれ?お前さっきどこにいた?」
さっきのノックの時には姿を見かけなかったが。
「すいません監督。………ずっとこの子と遊んでたみたいです」
鈴仙がすまなさそうにてゐを指さした。
「あ!!鈴仙、言わなきゃ分からないのに!!」
「ほう………初日からさぼるとは、良い度胸だな、てゐ」
「いやいや、さぼろうだなんて、そんな」
「………はあ、まあいい。後でノックしてやるから覚悟しとけ」
「………私、これからバイトが」
「あ、嘘ですから監督」
「れいせーん!!」
………なんだこのコントは。
まあともかく、全員の守備適性はわかった。
思ったよりも守備力は悪くない………というか、初心者にしてはずば抜けて上手いほうだ。
こいつら本当は野球経験あるんじゃないだろうかと錯覚してしまうほどに。
「さて。あとは打撃練習か………」
あいにく始めたばかりの野球部に、都合良くバッティングマシンがあるわけがない。
となると、俺が打撃投手をやるしかないな。
「よし、じゃあ一人ずつ打席に入れ。残りは自分の守備位置に………」
と俺が指示をしているところへ。
「その前にいいかしら、先生?」
「こ、校長?いつのまに………」
「ふふ、さっきから居たわよ。なかなか順調みたいね」
本当にさっきから居たのか?という疑問はとりあえず胸の奥に仕舞うことにする。
「ええ、まあ。予想以上に上手い子が集まってますよ」
「そりゃあ、そうでしょう」
俺の言葉に、八雲校長は当然のように笑った。
「で、これから打撃練習をさせようかと思ってます」
「へえ………それじゃ、ちょうどよかったわ」
「え?何がです?」
丁度良い、とは?
「どうせ打撃練習やるなら、投手の生きた球を打たせた方が経験になるでしょ?」
「そりゃそうですね。………でも、それが何か?」
「だから、これから試合をやるのよ。紅白戦を」
そして、校長はにやりと笑った。

あとがき:
3話目。他のポジション決め。
とりあえず今出ているメンバーで1チーム。
残りの面子は次当たりで出てくるかも。
ポジションについてもわりと、いやかなり本家東方野球に沿っている。
まあそのほうがやりやすいと思ったからだし。
その辺は高校野球だし、臨機応変に変えたりするのも面白いよね。
あと、次からは試合が出来るかもね。
………それにしても俺、初っぱなから輝夜をネタ扱いしすぎだな。
まあ、試合に出せばきっと「試合めんどくさい→楽に勝ちたい→勝利に最短距離でたどり着く方法を考える」となるので、
きっと大丈夫。
たぶん。

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