裏CLANNAD 智代編 5月9日
カシャア!
カーテンを開ける音。そして、眩しい光。
 智代「朋也、朝だぞ」
 朋也「あん…?」
俺は薄目を開いて、自分の部屋に立つ女生徒の姿を確認する。
そうか…。
俺は、こんな朝が繰り返されることを選んでしまったわけか…。
正直、キツいぞ…。
 朋也「智代」
 智代「なんだ」
 朋也「別れよう」
言った瞬間、ゆらり、と智代の姿が消えた。
次の瞬間、首筋に冷たい感触
 智代「朋也…それは冗談か」

本編同様の台詞を言いつつも日本刀を突きつけないでください智代さん。

 智代「冗談なんだな?」
 智代「………」
 智代「早く冗談だと言え」

 智代「でないと…またつまらぬモノを斬ってしまいそうだ

俺『つまらぬモノ』扱い!?


 生徒「智代さん、おはようございまーす」
 智代「うん、おはよう」
 生徒「生徒会長就任、おめでとうございまーすっ」
 智代「うん、ありがとう」

 生徒「あ、クーデターの人

 智代「後でぶっ殺す☆

智代は忙しく挨拶を返しながら、朝の校門をくぐった。

………最後に物騒な発言あった気がするが、気のせいだ。………いつものことだ。

 春原「とんでもない、組み合わせだと思うぞ、僕は」
 春原「なんなんだ、この三人は…」
 春原「僕たちふたりはわかる」
 春原「ぐぅたら過ごす組だ」
 春原「だが、目の前を歩く奴はなんだ」
 春原「生徒会長?」
 春原「なんだよそりゃ…住む世界が180度違うじゃんよっ」
 春原「おかげで、こんな早くに登校?」
 春原「僕たちまでいい子ちゃんかよっ」
 朋也「ま、我慢しろ」
 春原「へ…へへ…」
 朋也「どうした」
 春原「嫌だぁーーっ!」
 春原「こんな生活してたら狂っちまうよーーっ、おふくろさ〜〜〜んっ!」
 朋也「ああ、確かに狂ったな」
 春原「僕は逃げるっ!」
後ろを向いて、だっ!と走り出す。
 智代「ん?」
智代が振り返る。
 智代「どこに行くんだ、あいつは」
 朋也「帰って寝るらしい」
 智代「そうか…おもしろい」
 智代「それは、私への挑戦だな」
 智代「よし、受けてやろう」
智代も駆けていった。
ああ、春原のヤツ、これでまた1機失うんだろうな………そろそろ1○Pキノコがないとマズイぞ。
などと思っていると、すぐ向こうの森から、爆音が響いてきた。
きいぃいぃいいいいいいいーーーーーーーん!!
飛行機だった。
しかも、今ではもう生産・運航が中止されているコンコルドだ。

 春原「うわはははははっ!!この音速飛行機ならば、智代も追いつけまいッ!!


………春原、すげえよお前(間違ったベクトルに努力する的な意味で)

ずがああぁぁぁああぁぁんっ!!

あっという間に飛び上がり、見る見るうちに姿が小さくなっていく。
その姿を確認した智代は、諦めるかと思いきや。
 智代「ほぅ………春原にしてはなかなかやるじゃないか。………だが、相手が悪かったな

いや、誰だお前。

智代はそう言い放つと、近くの標識を迷うことなく引き抜いた。

そして。
 智代「私から逃げたければ………最低でも大気圏を突破しておくべきだッ!!

標識を槍投げの要領で、全身のバネを使い、コンコルドが飛び立った方向へと真っ直ぐ投擲した

ギュオンッ!!

こちらも、あっという間に空の彼方に消えていく。

………そして。

どっかあああああああああん!!

遙か彼方から、爆発音、すなわち春原の断末魔が聞こえたのだった。

 智代「汚い花火だぜ………

それ違う人の台詞。


そして、昼休み。
 春原「来るかね、智代ちゃん」
 春原「いや、生徒会長」
 朋也「来ないとは言ってなかったから、来るんじゃねぇ?」
 春原「生徒会長と一緒にお食事かよ…」
 朋也「何か変わるのか?」
 春原「きっと、校則にうるさくなるからな…」
 春原「三角食べを強要されるかもしれない…」
 春原「僕はメインのおかずは、後にとっておくタイプなんだよおぉーーっ!」
 朋也「小学生か、おまえは」
 春原「逃げるっ」
 智代「どうした、大きな声を出して」
 春原「くあ…」
一足遅かった。
 春原「智代…てめぇなぁ…」
春原は開き直って、智代に詰め寄る。
 春原「野菜だけ、先に食べてやるぞ、こらぁ?」
 智代「何を言っているんだ、こいつは」
 朋也「馬鹿だし」
 智代「うん、そうだったな…」
 春原「納得するなよっ」
 春原「智代っ、てめぇ、あんまり口うるさくしてるとなっ」
 智代「何か知らないが、言いがかりは後にしてくれ。忙しいんだ」
 朋也「あん? どうした」
 智代「生徒会の召集がかかっている。行かなくてはならない」
 朋也「そうなのか…」
 智代「これだけを置きにきた。ふたりで食べてくれ」
どん、と大きなハンカチの包みを机の上に置いた。
 春原「ふたりって…僕も?」
 智代「ああ。おまえにも一応、世話になったからな」
 智代「じゃあ、また後でな」
身を翻し、颯爽と去っていった。
 春原「なるほど…こうなってくると、生徒会に入ったって感じだな」
 春原「なんか、すでに貫禄あるし」
 朋也「貫禄は昔からあったと思うぞ」
 春原「そりゃ、言えてる」
 朋也「…座れば?」
 春原「ああ…そうだった。もう、飯を買いに行く必要もなくなったんだったな」
 春原「あいつも、いいとこあるじゃん」
春原が自分の椅子を引きずってきて、弁当箱のハンカチを解きにかかる。
 春原「ふたつあるってことは、どっちがおまえので、どっちが僕のかわからないよな」

中から出てきたのは、明らかに毒々しい色をした弁当と、もっと毒々しい色をした弁当。

………これは予想外だった。

 春原「これって、僕たちに死ねって言ってるのかな」
 朋也「………どうだろう」

まさか、今日の「別れよう」の冗談が尾を引いているのか………!?

そこへ、大あわてで智代が戻ってきた。
 智代「すまん、弁当を間違えた」

そう言って、一番毒々しい弁当を手に取った。

って、それが一番予想外だよ!!

 朋也「智代………それ、言っちゃ悪いんだが、食えるのか?」
 智代「ああ、常人には無理だな。私のように普段から低い毒物で慣らしていれば可能だが

やっぱり毒かよ。

 智代「それと朋也、これはお前のぶんだ」
そう言って、楕円型の可愛らしいプラスチックの弁当箱が俺に渡された。
………ということは、もう一つの毒弁当は。
 春原「あの………智代さん、こっちは?
春原の言葉に、智代はニヤリと笑うと。

 智代「食え。食べなかったら………分かってるな?(千枚通しを構えて)」

 春原「ワーイウレシイナ!!イタダキマース!!

春原は泣きながら食った。数秒後、極彩色の泡を噴いた倒れたが。

 智代「安心しろ、死にはしない。ただ生と死の境を彷徨うだけだ

それ死ぬって言わない?


クラスメイトたちが、下校していく。
三年にもなると、放課後の教室なんかで、時間を潰そうなどとは誰も考えないようだった。
 春原「遅いね…」
 朋也「ああ…」
 春原「きっと、忙しすぎて、抜け出す暇もないんだよ」
ジジ…と校内放送用のスピーカーが鳴った。
誰かが放送を始めるのだろう。
続けて、放送合図のチャイムが鳴った。
『ん…ごほん…』
『えっと…』
『朋也、悪いが先に帰ってくれ…』
ずざざざぁーっ!俺と春原は同時に椅子からすべり落ちていた。

『坂上さん…勝手に私信に使っては…(ザシュッ!!)あべしっ!!

「様」を付けろ「様」をッ!!

早速独裁政治をしてらっしゃるようですね。

ツー…
揉めている声をバックに、放送は切れた。
 春原「あんたの彼女って、すげぇ大胆っすね…」
 朋也「それは、おまえが身をもって知ってるだろ…」
あんなことして、大丈夫なのか、あいつは…。
しかし…そこまで忙しいものなのか。生徒会長というものは。
結局、ふたりで帰ることになる。
生徒会役員の亡骸を入れた大きなダンボールを抱えた生徒が数人、縦になって俺たちの脇を通り抜けていく。
………今、何か余計な修飾が付いた気がするが、気のせいだと言い聞かせる。
 春原「そういやさ…」
 朋也「あん?」
 春原「明後日…創立者祭じゃん」
 朋也「そういや、HRで担任が言ってたな…」
 朋也「でも、ま、俺たち三年はやることないし、関係ないだろ」
 春原「いや、すんげぇ関係あるだろ」
 朋也「どうして」
 春原「生徒会、主催だろ?」
 朋也「だって、発足されたばかりだぞ?」
 春原「いや、正確には知らないけどさ…」
 春原「でも、今日だって、それで忙しいんだろ?」
 朋也「そうか…」
 春原「ま、智代ちゃんのことだからさ、うまくやるだろうよ」
 朋也「だろうな」

………智代の事だからきっと、春原をホームランバットで飛ばしてどこまで飛ぶか選手権、とか開いたりするんだろうな。
 春原「絶対やめてください。俺死ぬ。
 朋也「WEB拍手で「やってくれ」って言われなかったらやらないだろうけどな
 春原「何その他人任せ!!

裏CLANNAD 智代編 5月9日 終
智代編 5月08日へ 智代編 5月10日へ
ひとこと:
最後の方でWEB拍手任せなコト書いてるけど、あんまり気にしないでね!!
でもコンコルドっていいよね、一度でいいから乗ってみたかったよ。
ガキの頃の速さの基準だったもん。でもそのガキの頃に既に生産が中止されてたのは今日Wikiで知ったよ。
Wikipediaすごいね!!いつか俺もWikipediaに載れるぐらい有名になりたいよ。


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