裏CLANNAD 智代編 5月10日
声「朋也…」
声「朋也、起きてくれ…」
声が聞こえる。
けど…まだ瞼を刺す光は感じられない。
目を開けてみる。
…智代がいた。
朋也「どうした…」
智代「悪い…こんな夜も明けきらぬうちに起こしてしまって…」
朋也「駆け落ちか…よし、いくか」
智代「違う。それは明後日だ」
やるのは確定なのかよ。
智代「もうNASAにロケットを手配済みだ」
駆け落ち先どこなんだよ！！
智代「というのは冗談で、昨日から創立者祭の準備が始まっている」
朋也「「春原をホームランバットで飛ばしてどこまで飛ぶか選手権」の開催が真っ先に決まったアレか」
智代「ああ、アレは私が企画したメインイベントだからな。期待していてくれ」
そんなの企画すんな、とは恐ろしくて言えない。
智代「今朝も、早くにいって、授業が始まるまで手伝わないといけない」
朋也「そんな生徒会長になり立てで、仕事があんのかよ…」
智代「当然だ…」
智代「そもそも、創立者祭は前生徒会と新生徒会の最初で最後の共同作業の場だ」
智代「ここでたくさんのことを教えてもらうことになる」
智代「大切な時なんだ」
朋也「なるほどな…」
智代「だから、今朝も一緒に登校できない」
智代「もし朋也がこんな時間でもいいなら、行けるのだけどな…」
朋也「何時だよ」
智代「まだ６時にもなっていない」
朋也「５時？ 俺、寝たのついさっきだよ…」
智代「うん…ゆっくり寝てくれ」
朋也「いや…別に授業中に寝れば済むんだけどさ…」
智代「ダメだ…それは私が許さない」
智代「今、寝てくれ」
朋也「ま…おまえがそう言うなら、そうするしかないな…」
智代「じゃ…私は行くから…」
朋也「待ってくれ」
智代「………」
膝を立てかけた智代だったが、もう一度膝をつく。
俺はその智代の首に手を置いて、引き寄せた。
唇を合わせる。
智代「ん…」
短い時間で終わらせた。
智代「じゃあ、おやすみ」
朋也「ああ、頑張ってこい」
智代「うん」
智代は出ていった。
朋也「………ところで、この展開でもまだ文科省推薦取る気なのか？」
だだだだだっ！！
智代が戻ってきた。
智代「しまったあああ！！」
いや、元々無理だろ。
午前の授業が終わり、放課となる。
三年生のほとんどは、明日が創立者祭だろうが関係なく帰宅していく。
一、二年は、準備に忙しい。
そして、その開催者となる生徒会は言うまでもなく。
朋也「腹減ったな…」
春原「なんか、食って帰ろうぜ」
朋也「ああ」
創立者祭とは、いわば学園祭である。
各クラスが忙しく出し物の準備する様を横目に見ながら、俺たちは廊下を歩いた。
春原「明日行く？」
朋也「朝の出欠取る時だけは、居たいよな」
朋也「それだけで、一日出席したことになるし」
春原「そうだね…朝の早起きも習慣づいちまったし…」
朋也「でも、この調子だと、すぐに戻りそうな気がするけどな」
近くの定食屋で昼飯を食べた後、そのまま春原の部屋に上がり込んで、いつものようにだらだらと過ごした。
声「入るぞ」
がちゃり。
ドアが開いて、現れたのは智代だった。
春原「んがっ…」
だらしなく寝そべっていた春原が体を起こす。
朋也「終わったのか？」
智代「まだだ。終わりそうにない。食事休憩になったから、抜け出してきた」
智代「ここで食べさせてくれ」
コタツの上に弁当屋の袋を置いた。
朋也「大変だな…」
智代「もちろん大変だ。だがな…」
腰を下ろして、袋から弁当を取り出す。
智代「少ない人数の力で、春原をボコれる環境を整える」
智代「それは、とてもやりがいのあることだ」
智代「実際、楽しい」
笑顔で言うな、笑顔で。
朋也「そうか。そりゃよかったな…」
智代は弁当を食べ始める。
智代「うん…」
朋也「春原」
春原「うん？」
朋也「悪いが、茶を入れてきてやってくれ」
春原「なんで僕なんですかねぇ！？」
朋也「おまえ、智代の弁当、食っただろ？」
春原「まぁ…確かにそんなことはあったが…」
智代「悪いな、春原」
春原「行くとは言ってないすけど…」
春原「ま、いいよ。どうせ、居たって出てけって言われるんだからさ」
朋也「わかってるじゃん」
渋々立ち上がり、春原は部屋を出ていった。
ふたりきりになる。
智代が箸を止めていた。
智代「だがな…」
智代「参加者として楽しめないこと、それは残念に思う」
智代「特に今は、朋也…おまえという彼氏がいるんだからな」
智代「ふたりで、そういう行事に参加できない。これはかなり悔しい」
智代「特に、私が春原をホームランバットで吹っ飛ばせないのは悔しい」
おまえ殺る気だったのかよ。
智代「殺ろうとしたら、春原が校区外まで飛んでいきそうだということで止められた」
なんのギネス記録だそれ………
朋也「でも、ま…仕方ないだろ」
智代「うん…」
智代「でもな…なんとかしてみようと思う」
智代「少しの間でも…ほんの１０分でもいいんだ」
智代「春原をボコりたい」
智代「一緒に、春原をぶっ飛ばしたり、春原を模擬店でフルボッコにしたい」
前から思ってたが智代、お前間違いなく病気だよ。
裏CLANNAD 智代編 5月10日 終
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ひとこと：
更新遅くなってごめんよ！！
実家帰ったりしてたのが原因だけど、やる気が起きなかったのが一番の原因だからそれは叱ってくれ。すまない。
で、お望み通り春原ホームランコンテストが開催されるから、記念に春原祭りだよ！！
他にも春原がらみでやって欲しいのがあればWEB拍手からー。
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