裏CLANNADことみ編 4月20日

 朋也「春原の部屋にでも行くか」
結局、いつも通りの行動だった。
寮を横目に見た時、なぜか足を止めていた。
せっかくの休日に、芸がなさすぎる。
なら…
このまま学校に行くというのはどうだろう?
校舎に潜り込めれば、空き教室で暇つぶしできる。
 朋也(やることは大して変わらないけどな…)
そんなことを思いついたのは初めてで、自分に苦笑いする。
人気のない坂道を、俺は登り始めた。
学校は、思っていたほど静かではなかった。
部活がある連中は、日曜でも普通に活動しているらしい。
吹奏楽部の管楽器が、同じフレーズを繰り返し練習しているのが聞こえる。
下駄箱への扉も普通に開いていた。
廊下に足を踏み入れる。
授業中とはまた違った、静けさがあった。
今校舎にいるのは、まともに活動している文化部員だけだろう。
さすがに、知り合いは誰もいそうにない。
 ことみ「朋也くん、こんにちは」
 朋也「………」

かえりちをつけたろっぽうぜんしょをさげたしりあいがあらわれた。

既に何人か殺っているようで。

 朋也「で、おまえはどうせ図書室に行くんだろ?」
 ことみ「うん」
答えて、廊下を歩き出す。
 ことみ「行こっ」
 朋也「………」
毒を食らわば皿までだった。
彼女の隣に並びかける。
本がいっぱいに入っているだろう鞄が、いかにも重そうだった。
 朋也「持ってやるよ」
 ことみ「??」
 朋也「おまえの鞄を、俺が図書室まで代わりに運んでやる、という意味だ」
 ことみ「あ、ええと…」
 朋也「ほら、貸せよ」
彼女は少しだけためらって、俺に鞄を差し出した。
受け取ったとたん、ずしりと腕に力がかかる。
 朋也「…何冊入ってんだよ?」
 ことみ「今日は、九冊」
事も無げに言う。
 ことみ「みんな、すてきな六法全書なの」
全部これ六法全書かよ。

 ことみ「全部名前が付いてるの。こっちは全殺丸(ぜんごろしまる)、これは全殺丸Mk-U、これは真・全殺丸…

もうやだこの中二病全開なことみ。

二人で並び、静かな廊下を歩く。
図書室の戸口が見えてきたところで、重要なことに気づいた。
 朋也「…日曜は図書室、開いてないんじゃないのか?」
平日は多少管理がずさんでも、さすがに休日は違うだろう。
責任者の教師とかが決まっていて、ちゃんと戸締まりしているはずだ。
 ことみ「うん。開いてないの」
 朋也「それじゃ、どうやって入るんだよ!?」
 ことみ「はい、これ」
スカートのポケットから何かを取り出した。
受け取って見ると、鍵だった。
紐で結ばれたプラスチックの札には、『ぬすみのハリガネ』と書いてあった。

ここで「がんばれゴエモン」ネタかい!!古すぎて読者ついていけねえよ!!

 ことみ「ググレカス

ことみさんパネェっす。

 朋也「…とにかく、鍵開けるぞ」
聞いてると長くなりそうなので、とっとと中に入ることにする。
鍵穴を探そうとして、戸口に隙間があるのに気づいた。
戸に手をかけると、いとも簡単に開いた。
彼女の方を見る。

 ことみ「すりかえておいたのさ!!

何と何をだよ!!お前その台詞言いたかっただけだろ!!

 朋也「なあ。俺って…ここにいて、いいのか?」
 ことみ「???」
ものすごいハテナっぷりだった。
 ことみ「ええと…」
 ことみ「ここは図書室だから、この学校の生徒なら誰でも自由に入っていいの」
にこっと笑う。
今は閉室時間だろとか、そもそも今日は学校休みだろとか、ツッコミたいことは山ほどあったが、問題はそこじゃない。
 ことみ「私、名誉図書委員なの」
 朋也「いや、それももう聞いたし」
 ことみ「??」
 朋也「だからな、なんて言うか…」
真剣な顔で見詰められ、なぜかしどろもどろになる俺。
 朋也「俺は本当に必要なのかっていうか…この前も弁当もらっただけだたし」
 ことみ「あっ…」
 ことみ「ええと、ごめんなさい、なの」
 ことみ「今日はお弁当持ってきてないの」
 朋也「…いや、腹が減ってるわけじゃないって」
 ことみ「そうなんだ…」
安心したような、物足りないような顔。
というか、話題がずれまくっている。
 朋也「いいか? よーく聞いて答えろよ?」
 ことみ「うん」
 朋也「えっとな、つまり…」
 朋也「俺がここにいた方が、おまえは嬉しいか?」
苦し紛れに、すごいことを訊いてしまった気がする。
 ことみ「うん」
当たり前のように、彼女は頷いた。

 ことみ「雑用係を私一人にやらせる気か?たかが愚民が

よかった、いつものことみだ。

 ことみ「ええと…」
 朋也「今度はなんだよ?」
 ことみ「朋也くん、ご本読む?」
 朋也「そうだな…」
どうせ暇だし、この際変わったことをするのも悪くない。
 朋也「お薦めの本って、あるか?」
俺が言ったとたん、表情が明るくなった。
 ことみ「それなら…」
持ってきた本を、一冊一冊手に取って吟味する。
 ことみ「英語とフランス語、どっちが好き?」
 朋也「…自分の基準で他人を判断するな」
 ことみ「??」
 朋也「日本語の本にしてくれ、頼むから」
 ことみ「邦訳でもいい?」
 朋也「ああ」
適当に答えておく。
 ことみ「それなら…」
一冊を選び出した。
 ことみ「これ、ちょっとおすすめ」
 朋也「どんな本なんだ?」
 ことみ「かいつまんで言うと…」
 ことみ「人間をマインドコントロールするための方法が書いてあるの。これで数年後には日本を乗っ取るの
もう駄目だこの裏ことみ…。

火を消そうとしていた。
歯を食いしばって、何度も水をかけた。
オレンジ色をした炎が、生きものみたいに揺らめいていた。
その向こうで、だれかが泣いていた。
知らない大人たちがやって来て、すぐに火を消した。
背中にかばった、だれかが泣いていた。
ちいさな手のひらで顔をおおって、ただ泣きじゃくっていた。
 朋也「………」
目が醒めた。
夢を見ていた気がする。
よく覚えていない。
頭の奧、後悔に似た感情が少しだけ残っている。
休みの午後を、寝て過ごしたせいだと気づいた。
…そろそろ帰ろう。
上体を起こし、辺りを見渡してみた。
夕暮れ時だった。
図書室の壁も床も、隅々まで金色に染まっていた。
そんな世界の中で、彼女は今も本を読んでいた。
自分の影がページに落ちていることさえ、気づいていないようだった。
 朋也「そろそろ帰るぞ」
返事はない。
 朋也「こら、ことみ」
やっぱり、返事はない。
こうなったら、奥の手を出すしかない。

 朋也「………鮮血の伝道師ことみ様

ページをめくる手が止まる。
本から顔を上げ、ゆっくりとこちらを向く。

そして、首を絞められた。

 ことみ「ことみ・オブ・ラストジャッジメント様と呼べこの負け犬

いつ変わったんだよ!!あと前のより中二病臭が酷いよ!!

裏CLANNAD ことみ編 4月20日 終
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ひとこと:
今年(2009年)最後の裏CLANNAD更新がこんな中二病臭100%な結果になるなんて・・・。
だがそれがいい。

来年中にはことみ編を終わらせたいなあ。
ことみ編はこれからも中二病っぽい展開にしていくので、何か要望があればいつでもよろしくー。
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