裏CLANNADことみ編 4月22日
そろそろパン売り場が開くな…
教師の様子を窺う。
黒板に何か書くのに夢中で、こっちには気づいていない。
チャンスだ。
椅子から尻をずらし、床に這いつくばる。
そのまま匍匐前進で戸口まで進む。
だが、ここからが難関だ。
できるだけ音を立てないように、引き戸をスライドさせなければならない。
爆発処理班のように緊張しながら、作業にかかろうとした時だった。
ビィーーーッ！！ビィーーーッ！！
え、何の音？
機械音「生徒ノ脱走ヲ感知シマシタ。生徒ノ脱走ヲ感知シマシタ。ドアヲオートロックシマス」
なんだその無駄なハイテク具合は。
機械音「生徒抹殺用ニ、合衆国最終兵器ノ使用準備ニ入リマス。発射マデ、アト３分デス………」
殺す気満々かよ！！
朋也「まあ、もっと人数がいればいいわけだな」
箸を止めて、ことみが俺のことを見る。
朋也「そういうわけで、今日の放課後も付き合えるか？」
ことみ「ええと…」
そして、ゆっくりと頷く。
ことみにとって、それは簡単な決断ではないはずだ。
だから俺は、気楽な口調で言う。
朋也「よし、ガンガン紹介してやるぞ。目指すは友達百人だ」
ことみ「友達、百人…？」
目をまん丸にする。
ことみ「朋也くん、すごーい」
朋也「…ごめん。ほんとは俺、そんなに友達いないし」
ことみ「？」
朋也「いや、ここは真顔でハテナじゃなく、ツッコミで返してもらわないと…」
ことみ「………」
ことみ「…ツッコミ？」
朋也「いやいい。俺の要求が高度すぎた」
ことみ「？？」
朋也「ほら、俺のパンもあるから」
袋をひっくり返して、机の上にパンを広げる。
朋也「昨日とは変えてみたから、どれでも好きなの食えよ」
朋也「あと、うまいと思ったら全部食えよな。俺の分残さなくてもいいから」
ことみ「………」
ぽんと手を打つ。
ことみ「一ノ瀬流究極奥義・難出屋念（なんでやねん）！！」
お前はいちいちそういうネタ入れないと死ぬのか。
春原「説明しよう！！一ノ瀬流究極奥義・難出屋念とは、一ノ瀬家に脈々と受け継がれている一子相伝の奥義の一つである！！」
お前も説明すんな！！あと突然出てくんな！！
ことみ「キミとは………やっとられんわーーーーー！！」
DOKKOOOOOON!!
昭和テイスト溢れる効果音が飛び出したかと思ったら、春原が六法全書でぶっ飛ばされていた。
ことみ「ほな………さいならッ！！」
ちゅどおおおおおおんっ！！
ことみの言葉を合図に、春原が木っ端みじんになった。
ことみ「死して屍、拾う者なし………！！」
ていうか六法全書で春原ぶっ飛ばしただけじゃねえか！！
（中略）
杏「…っていうか、だれ、それ？」
俺の背中に隠れていることみの方を指さす。
ことみ「いじめる？ いじめる？」
ひたすらオロオロしていた。
朋也「いじめないから、とりあえず落ち着け。なっ？」
噛んで含めるように言う。
朋也「まずは挨拶からだ。やってみろ」
ことみ「朋也くん、こんにちは」
朋也「よーしツカミはオッケー、次はいよいよ本番だ」
呆気にとられている杏の目前に、半ば無理矢理押し出す。
ことみ「………」
見るからにコチコチだった。
古河の時の百倍は緊張していると思う。
ことみ「こんにちは」
バネ仕掛けのようにお辞儀してから、ぎくしゃくと自分を指さす。
ことみ「ことみ」
ことみ「ひらがなみっつで、ことみ」
ことみ「呼ぶ時は、「Call Of Despair(絶望を呼ぶ者)」ことみ様」
中二病具合が更にヒートアップしていた。
杏「………」
ことみ「いじめっ子？」
既に泣きそうだった。
杏「えーっと…」
さすがの杏も言葉に困っている。
朋也「こいつはこれで正常動作してるんだ。気にするな」
杏「はぁ…、で、つまりはなんなの？」
朋也「ああ、こいつのことで相談があって来たんだ」
背後に隠れようとすることみを、ひっぺがしながら言う。
朋也「こいつ、一ノ瀬ことみって言ってさ、俺の知り合いなんだけど…」
杏「ん…？ なんか聞いたような名前ねぇ…」
首を傾げて考え込む。
杏「って全日本中二病選手権６連覇中のド天才じゃないっ。なんであんたとそんなのが知り合いなのよっ！？」
そんな選手権の存在、初めて聞いたぞ。
杏「しかも「中二病」が公式種目になる次のオリンピックでも日本代表候補とか言われてるわね………」
そもそもどうやって勝負するんだ………
裏CLANNAD ことみ編 4月22日 終
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ひとこと：
春原を解説役にすれば死なせずに登場させることが可能だと思いついたけど、
やっぱり死なないと春原じゃないよね！！ってことで爆死。
そろそろ真面目に中二病ネタが無くなってきた。
これを解消するためには………俺自身が中二病になるしかない！！
………のか？
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