裏CLANNAD 4月20日
容態だけでも知りたかった。
午後になると、俺は古河パンを訪れていた。
秋生「いらっしゃい!」
秋生「…って、またてめぇかよ、小僧っ」
朋也「悪かったな、オッサン」
秋生「何度俺に勘違いさせるんだ。客らしいツラして入ってくるんじゃねぇよ」
秋生「客じゃないなら、もっとそれらしく振る舞え」
朋也「どんなふうにだよ…」
秋生「そうだな…」
秋生「後ろ向きになってコマネチして『シューマッハ!!』と叫びながら来い。そしたら異様過ぎて客だと思わない」
その前に警察に職質されそうな気がします。
秋生「で、なんの用だ」
朋也「古河の…渚の具合は。熱とかあるのか」
秋生「ちっ、一日ぐらい我慢できねぇのか。寝てるから、そっとしておいてやれ」
秋生「ちなみにうわごとでおまえの名前なんて言ってねぇぞ。自惚れるな」
秋生「言うとしたら、こうだ」
秋生「ああん、謎ジャム大好き!!チョー美味しい!!」
秋生「チョー赤色のガチャピンも大好き!!ジャムかけて食いてぇ!!」
秋生「ってなもんだ。いやぁ、マイッタ、マイッタ、と」
お父さん、娘さんを精神科医に連れて行くべきだと思います。
朋也(さて、これからどうするか…)
考えるまでもなく、ただで時間を潰す方法なんて、春原の部屋で過ごす以外になかった。
日曜。
平日と同じように、昼前には家を出る。
…惰眠を貪る親父の体を跨いで。
昨日の雨は夜のうちには上がっていて、地面もすでに乾ききっていた。
穏やかな陽気だ。
朋也(さて、どうしようか…)
で…これから向かう先は…
結局あそこなのか…。
考えるまでもなく、ただで時間を潰す方法なんて、春原の部屋で過ごす以外になかった。
陽気が穏やかだろうが、関係なかった。
寮へ向かう途中の道。
声「おい、そこのあんたっ」
………。
声「あんただよっ」
俺か…?
振り返ると、ひとりの若い男が俺のことを手招きしていた。
男「頼む、ちょっときてくれっ」
その先には一台の乗用車と、脇に作業着姿のヘルメットをかぶった男。
奥には軽トラも止まっている。
事故だろうか。
男「こっちだ。ここを見てくれ」
若い男は、車のボンネットを指さした。
顔を近づけて見てみると、中央に丸いクレーターが出来ていた。
凹み過ぎ。
朋也「それで?」
男「それで、その場で見上げたら、この作業員のにいちゃんが居たってわけだ」
見上げた先には、梯子が立てかけられた街灯が一本。
それを修理するような仕事なのだろうか。
作業員「何度も言っているが…」
作業員「核弾頭を落とすようなヘマはしない」
落としたらそれどころじゃないッスよね。
作業員「もししていたとしてもだ。それを隠すような真似などしない」
まぁ、結果がハッキリ出ますからね(周辺壊滅っていう結果)
作業員「お疲れ。助かったよ」
…腕が上がらない。
ずっと街灯を支えていたせいだ。
それどころか梯子の上に乗っているだけで、不安定な体勢が体力を削る。
腿はパンパンに張り、ふくらはぎも痛みすらある。
俺は地面にへたり込み、息を整えるのが精一杯だった。
体力には自信があったけど、風体を気にする余裕すらない。
朋也「そもそも、二人でやる作業なのか、これがっ」
俺は息も絶え絶えにそう吐き捨てた。
作業員「働くのは初めてか。なら、無理もない」
作業員「どんな仕事だって、これくらい普通だ」
俺よりもよっぽど辛い作業をやっていたはずなのに、男は涼しげな顔で言った。
それにより、俺は思い知らされた。
いかに自分が、ぬくぬくと暮らしてきたかを。
小さな悩みとか、そういうことをうじうじ考えていることが馬鹿らしくなるほどにしんどい。
社会に出る、ということは、そんな日々に身を投じる、ということなのだ。
想像はしていたけど…想像以上だった。
目の前の男だって、俺とさほど変わらない歳の若い男だ。
その男にいとも簡単に、『これくらい普通だ』などと言われれば、ショックもでかかった。
作業員「っていうか、プログラマよりは大変じゃない」
サラッと言いますね。
(プログラマーはデスクワーク業務の中でダントツの死亡率なのです・・・)
作業員「お待たせ」
朋也「いえ、一度戻ってましたから」
作業員「ほら、バイト代。悪いな、半分しか出なかった」
作業員「一日働いてないのに、丸々出せるかって言われてな」
男は灰色の封筒を差し出した。
下の方に、何やら会社名が書いてあった。
俺はまだ痛みが残る腕で、封筒を開けた。ひのふのみの…
『こども銀行』
騙されたっ!?
裏CLANNAD 4月20日 終
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ひとこと:
そもそもテキストの量が少ないのでネタも少なくなってます。
クオリティが低いのは言い訳できませんごめんなさい_| ̄|○
また卒論が忙しくなりそうです。最悪でも3,4日に1回の割合で更新していきたいですが・・・
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