裏CLANNAD 4月23日
昇降口を抜け、上履きに替えて古河を待つ。
一向に来ないから、古河のクラスの下駄箱を覗いてみる。
古河はそこでじっと立って、手に持った紙切れに見入っていた。
朋也「なんだ、それ」
古河「わっ…」
さっと後ろに隠す。
朋也「むちゃくちゃ気になる反応だな」
古河「そ、そんなことないです。とてもつまらないものです」
朋也「じゃ、見せてくれよ」
古河「それはダメです」
朋也「どうして」
古河「それは…とてもおもしろくないからです。岡崎さん、がっかりします」
朋也「別にいいって。俺がそれを見て、おまえが迷惑するもんじゃないんだろ？」
古河「それは、そうなんですけど…」
正直でよろしい。
その腰から見えていた白い紙を、さっと奪い取る。
古河「あっ…ダメですっ」
読んでみる。
『今回のターゲットはこの人物だ』
その下に悪そうな顔をした生徒。
………見ないほうが良かった。
古河「見てしまったからには、岡崎さんにも手伝ってもらいますっ」
すいません勘弁してください。
次の休み時間になると、春原は俺と古河を廊下に呼びつけた。
春原「犯人、わかったよ」
朋也「おまえ、本当に調べてやがったのかよ…」
春原「大丈夫だって。大人しくやったから」
春原「で、犯人なんだけど」
春原「やっぱり合唱部のひとりだった。杉坂って子で、それがまた大人しそうな顔した奴なんだよ」
朋也「なんで、わかったんだよ」
春原「そいつのクラスメイトが見てた」
春原「時間は昨日の放課後、遅くだ」
春原「三年の下駄箱なのに、何やってるんだろう？って不思議に思ったってよ」
春原「下駄箱のクラスも覚えてた。Ｂ組」
春原「それで、そいつが合唱部のひとりとなったら、もう間違いないよな」
朋也「おまえ、それ、ねつ造してんじゃねぇだろうな」
春原「本当だっての。見てた奴の名前も教えてやるよ。自分で訊いてこい」
朋也「いいよ…」
春原「ふん…まぁ、そういうことだ」
春原「やっぱり女ってのはわからないねぇ」
春原「な、わかったろ。自分の考えが甘かったってさ」
黙りこくっている古河に言った。
朋也「おまえは黙ってろ」
春原「おまえね、誰のおかげで真相がわかったと思ってるんだよ」
朋也「そんな真相知りたくなかったんだよっ」
古河「違います」
春原「あん？ 何がだよ」
古河「きっとすごく深いわけがあるんです」
古河「そうしないといけなかった深いわけが…」
春原「まだ、この子は甘いこと言ってるよ」
春原「みんな汚い手段使って、自分だけいい目見ようって頑張ってんだよ」
春原「自分だけが、ルール守ってたら馬鹿みるよ？」
春原「ほら、言ってくれよ、部長さん。どんな手を使ってでもいいから、部を勝ち取ろうってさ」
春原「そうしたら、望み通りの成果をあげてみせるよ？」
古河「絶対に言わないです、そんなことっ」
古河「そんなことしたら、裏CLANNADのヒロインの座を失ってしまいますっ」
……………え。
古河「そして裏シリーズのヒロインの座もゲットするんですっ」
さり気に大目標ッスね渚さん。あの不発弾娘と渡り合う気か……。
古河「あの…」
パンを食べ終えた古河がこっちを向いていた。
目が合ってしまう。
ずっと見ていたことがばれてしまっただろうか…。
朋也「何？」
平静を装い、訊き返す。
古河「あ、はい…ひとつだけ訊いていいですか」
朋也「ああ、いくつでも」
古河「春原さんのことですけど…」
朋也「春原…？」
古河「はい。どうして、パペットマペットを嫌ってるんでしょうか」
朋也「…そんなこと言ってたっけか」
古河「はい。初めてお会いしたときに言ってました」
言ってません。
古河「後ろの人が忌まわしいとか…」
古河「それが岡崎さんと、春原さんが、共通することだって」
いつ俺がパペマペ嫌いって言ったよ！？
古河「岡崎さんが、パペットマペットを嫌っていた理由は聞きました」
言ったのかよ俺！！
古河「でも、春原さんの理由はまだ知らないです」
朋也「…言葉の通りだよ」
朋也「あいつも俺と同じだからな」
テキストどおりかよ俺ッ！！
古河「どういうことでしょうか」
朋也「一年の頃は、あいつもお笑いやってたんだ」
朋也「でも、パペットマペットと喧嘩やらかして、出演禁止食らってさ…」
朋也「爆笑オンエアバトルからも落ちて、居場所もなくなって、挫折しちまったんだ」
すげぇな、春原の人生。
裏CLANNAD 4月23日 終
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ひとこと：
春原のアホアホ人生が明らかに・・・
っていうか、渚って裏CLANNADどころか裏シリーズのヒロインの座も狙ってたんですね。
裏月宮あゆとの一本勝負・・・不発弾VSパン好きゴルゴ！！（ぇ）
っていうか、遠距離射撃って時点でゴルゴ勝つし（ぉ）
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