裏CLANNAD 4月29日 


午後になると、渚に会いに古河パンを訪れる。
 朋也「ちーっす」
店内には、早苗さんと・・・そしてお客が一人。
 早苗「あら、岡崎さん、こんにちは」
 女性「こんにちは」
早苗さんと一緒に挨拶する女性。
 朋也「えっと、渚、いますか」
 早苗「まだ中で支度してますよ」
支度…。
俺と出かけるため…ではないんだろうな。
 女性「渚ちゃんの、げぼ…げふんげふん、お友達ですか」
女性が俺に話しかけてくる。
 朋也「え? ああ、はい」
…って待て、『げぼ…』って何だ?
気になるが、とりあえずそれは置いておく。
 女性「同級生?」
 朋也「クラスは違いますけど、学年は同じっす」
 女性「渚ちゃん、元気にやってますか」
 朋也「えぇ、元気っすよ」
 女性「そうですか。それはよかったです」
 朋也「……?」
 早苗「こちら、伊吹公子さんといって、渚の担任だった先生なんですよ」
俺が不思議そうな顔をしていると、早苗さんがそう紹介してくれる。
 伊吹「はじめまして、伊吹です」
 朋也「あ、ども、岡崎っす」
 朋也「担任ってことは…ウチの学校の?」
 伊吹「はい。でも、三年前に辞めてるんで、岡崎さんが入学してくる前までです」
 朋也「あぁ、一年の時、渚の担任だったんすね」
 伊吹「はい。それにしても…」
伊吹という女性が早苗さんに笑顔のまま向き直る。
 伊吹「復学して間もないのに、こんな格好いい下僕 兼 生贄を従えるなんて、渚ちゃんも、隅に置けない子ですねっ」

俺、下僕 兼 生贄なのっ!?

っていうか、さっき言いかけたのそれだろっ!!


 早苗「はい。渚、すごく頑張ってるんですよっ」
早苗さんもテキスト通り喋らないっ!!っていうか肯定!?


店を出ると、渚は何か言いたげに、戸口のほうを振り返った。
 朋也「どうした」
 渚「伊吹先生の、妹さん、入院してるんです…」
 朋也「え?そうなのか…」
 渚「はい。2年前に交通事故に遭って、それからずっとなんです…」
 渚「そう、お母さんが言ってました…」
 渚「本当は、同じ学校で過ごせるはずだったんです」
 朋也「そっか…」
 渚「あ、伊吹先生…」
店先に、伊吹先生が立っていた。
 伊吹「あら、お邪魔でしたね」
立ちつくす俺達に笑顔でそう訊いた。
その笑顔もなんだか、今は痛々しく感じられた。
 朋也「妹さんが、入院してるって…」
 伊吹「え?」
 伊吹「あ、はい」
 渚「よくなると…いいです」
 朋也「俺も…です」
 朋也「よくなること…心から祈ってますから」
 伊吹「ありがとうございます」
 伊吹「よくなったら、遊んであげてくださいね」
 渚「あ、はい、もちろんですっ。朋也くんを自由におもちゃにしてあげてください

俺、ホントにお前の彼女?

 伊吹「それは楽しそうですねっ……じゅるり

伊吹先生、何を想像したんですか。


 朋也「あぁ、いい天気だな。散歩日和だ」
 渚「そうですねっ。…くけけけけけ
……渚、お前いつ「ひぐらしのく頃に」をプレイしたんだ?
と思ったが、口に出せばライフルを向けられるのがオチなのでやめておく。
 渚「朋也くん、歩きましょう」
 朋也「そうだな」
 朋也「とりあえず、どっちに向かって?」
 渚「こっちです。家のほうです」
 朋也「また代わり映えしない道を散歩するもんだな」

 渚「そうしないと地球の軌道が狂うんです」

狂うのっ!?

てか、本編では予定じゃなかった!?



 渚「あのっ」
 朋也「なに」
 渚「朋也くん、超ラッキーです」
 朋也「なにが」
 渚「休みの日に…わたしのようなちょっと可愛い女の子と歩いているからです」
ぶんっ!!
空気を切る勢いで、俺は渚の顔を見ていた。
 渚「えへへ……」
 渚「ちょっとですから…」
 朋也「まぁな…そりゃちょっとも可愛くなかったら、俺も付き合ってねぇし」
 渚「そうです…朋也くん、ついてます」
 渚「ラッキーです」
 朋也「………」
妙な空気の中、俺達は歩いていく。
 朋也「で、なんか目的あんの?」
 渚「目的ですか……」
 渚「えと、同人誌
 朋也「同人誌?

 渚「家に行って、作者が昔発行したショボい同人誌を買うんです」

売ってない。確実に売ってないうえに作者の家にしか存在しないぞ(ほっといてくださいby作者)

 朋也「まぁ、百歩…いや100万歩譲って同人誌を買ったとして、なんのために」

 渚「もちろん、燃やして供養にするためにです」

 朋也「燃すなぁっ!!

ちなみに、家に5冊ありますよ?(謎)


俺たちは、公園のベンチに腰を落ち着けていた。
見た目は代わり映えのしないふたりだったが、今日は渚が少しおかしい。
もぐもぐ…
 朋也「おいしいか」
 渚「はい…朋也くんのおごりですから…いつも以上においしいです」
 朋也「そうか。そりゃよかった」
 渚「朋也くんも、食べたいです」
 朋也「いや、勝手に決め付けられても、困るけど…」
 渚「じゃ、訊きます。朋也くんも、食べたいですか」
 朋也「いや、別に」
 渚「………」
 渚「ああ…困りました」
 朋也「何がだよ」
 渚「いえ……」
一体なにがしたいのだろうか。
きっと、俺が食べたいといえば、渚の思うようになるのだろう。
困っているようだったから、言ってやることにする。
 朋也「食べたい」
 渚「食べたいですかっ」
 渚「でも、あげないです」
ずるぅぅーっ。
俺はベンチから滑り落ちていた。
 朋也「おまえはっ……」
 朋也「一体何がしたいんだっ」
 渚「大丈夫ですか、朋也くん…」
 朋也「ああ…」
ケツを払って、もう一度座りなおす。
 渚「ええと…ひとつしかないですので」
 朋也「どうにでもなるだろ、そんなもの。ふたつに割るとか」
 渚「いえ、ひとつ丸々、わたしのぶんなんです」
 朋也「じゃ、ひとりで食えよ」
 渚「はい、食べます」
 渚「ですが、それだと朋也くんが可愛そうですので…」
 渚「匂いだけでも…と思います」
 朋也「ああ、そう。そりゃどうも」
そんなもの嗅ぎたくともなんともなかったが、素直に返事をしておくことにする。
 渚「朋也くん、こっちを向いてください」
 朋也「ああ」
パンを鼻面につきつけられるのかと思ったが、そうではなかった。渚はそれに自分でかぶりついていた。
もぐもぐ…
しっかりと噛む。
渚「……」
意を決したかのような顔。
そして……
ふっ!!
 朋也「ぐぉっ……!?」
渚の口から、何かが発せられたかと思うと、俺の喉元に突き刺さる。

 渚「あっ…間違えて吹き矢を飛ばしてしまいました…」

 朋也「そんな…ものを…仕込む…なぁっ……!!

急速に意識が薄れていく。

あぁ…久しぶりに……こういうオチなの……ね。

裏CLANNAD 4月29日 終
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ひとこと:
久々に長い裏CLANNADを書いたぜっ!!
……って、何自慢げに言ってるんですか俺は…これが普通なのに……_| ̄|○
なんか、普通にすぐ更新できたのでちょっと嬉しいです。
現在、学校でPC実習中なので、スキを見て書き続けたいですよ(ぉ)
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