裏CLANNAD 4月30日 
 渚「おはようございます」
 朋也「おはよ……」
 渚「なんだか辛そうです」
 朋也「全身、筋肉痛だよ…」
 朋也「普段、運動しねぇからな…」
 渚「大丈夫ですか?」
 朋也「ああ……」
 渚「あの、今日はサンドイッチ、持ってきました」
 渚「お店の商品ではないです。わたしが作りました」
 渚「お母さんにも手伝ってもらいましたけど」
 渚「試合が終わったら、みんなで食べましょう」
 朋也「ああ……」
 朋也「楽しみにしてるな…」
 渚「本当、辛そうです」
 朋也「大丈夫だって」
 渚「辛そうなので、楽にしてあげ……

 朋也「間に合ってます

お前、その対戦車バズーカで俺に何しようってんだ……



そして2時間の授業を終え、放課後に。
 杏「おっそーい!!」
廊下に出ると既に杏と渚が待っていた。
 杏「今から本職の連中と一戦交えようってのにちょっとタルんでんじゃないの?」
 朋也「なんだ、ずいぶん興奮してるな……?」
 杏「ふ…ふっふふ…絶対に勝つわよ、今日の試合…っ」
 春原「あの、なにがあったんスか…?」
 杏「あたしのクラスにね、バスケ部のレギュラーがいるのよ」
 朋也「はぁ」
 杏「あたしが試合のメンバーだって知ってたみたいでさ…なんて言ったと思う?」
 春原「なんて言ったの?」
 杏「あんな底辺組と組むなんて藤林も堕ちたもんだな…」
 杏「ってああああっ!!むかつくー!!」
 朋也「へぇー…底辺組ねぇ…」
 杏「あの蔑んだ笑みを真っ赤にしてやりたいぃぃーっ!」
おお、杏がだいぶ燃えてるな。
 杏「っていうか、既に真っ赤にはしたんだけど

………え?

よくよく杏を見てみると、そこかしこになんだか赤いものが付着しているような……。

 朋也「………杏。お前の服に付いてるそれ、まさか返り血……

 杏「事故よ。不幸な事故

うわーい、本編にも増して頼もしい存在だぁ(泣きながら)


館内は既に熱気が立ち込めていた。
半分はバスケ部。ネットで仕切られた反対側は、バレー部が使用していた。
まだ号令はかかってないのか、各々自主的に練習していた。
…懐かしい風景。
俺もかつては、その中のひとりだったのだ。
けど、今は…。
俺は自分の体を見下ろす。
制服のままの格好。
こんな姿で、かつて情熱を燃やしていたバスケをやるなんて、皮肉だ。滑稽すぎる。
 渚「とても緊張してきました…」
 朋也「おまえ、見てるだけだって」
 渚「わかってます」
 渚「でも…バスケ部の人たちと試合するんです。それはすごいことです」
 渚「見てください。みなさん、とてもお上手です」
聞かれていたら、怒られそうなことを言う。
 渚「こうして毎日練習してるんです」
 渚「そんな人たちと…集まったばかりのわたしたちが、試合で戦うんです」
 渚「今まで違う道を歩んできた、わたしたちがです」
 渚「わたしたちは、この短い間で、どれだけ友情を深められたでしょうか」
 渚「もし勝てたとしたら…」
 渚「わたしたちは、その短い時間で、バスケ部の方たちよりも、固い絆で結ばれたということです」
 渚「だとしたら、すごいことです…」
 渚「不器用に…みんなから離れて生きてきたわたしですけど…」
 渚「いつだって、足を引っ張る役だったわたしですけど…」
 渚「力をあわせれば、普通に暮らしてきた人たちよりも、すごいことができるって…」
 渚「そういうことですから」
 朋也「ああ…そうだな」
渚の言いたいことはよくわかる。
春原も、俺も同じように生きてきたから。
……。
何人かのバスケ部員の目がこちらに向いていた。
体育館内では、制服姿は一際目立つ。
その中の一人が歩いてきた。
 バスケ部員「用意はいいのか?」
俺たちの姿を見て、失笑しながらに訊く。
 春原「あぁ。形から入るのは嫌いなんでね」
春原が不敵に笑って返す。
 バスケ部員「じゃ、始めるか。ウチの顧問に見つかると厄介なことになるからな」
 春原「顧問て、大上だっけか」
 バスケ部員「ああ」
大上は、バスケ部の顧問だけでなく、生活指導をも受け持つ教員だった。
俺もそちらでは、何度となく世話になっている。
 春原「そりゃ、厄介だ。とっとと終わらせよう」
 バスケ部員「じゃ、そっちのゴール下で待っててくれ。こっちもメンバー決めるから」
 春原「レギュラー並べればいいんだよ」
 バスケ部員「はっはっは!結果的にそうなるように善戦してくれ」
笑いながら、部員の元に戻っていった。
 春原「はっ……笑ってろって」
 春原「しかし…」
春原が二階の通路を見上げる。
 春原「合唱部の奴ら、見えねぇなぁ…」
 朋也「挑発に乗って、観戦にくるような奴らかよ」
 春原「ま、いい。快挙で噂は広がるさ」
 朋也「身の程知らずも、噂で広がると思うぞ」
 春原「………」
 春原「んなもんが広まったらさ…」
 朋也「学校、来れねぇよな……」
 春原「だな」
 朋也「勝つしかねぇな」
 春原「だな」
 朋也「いくか」
 春原「うしっ」
向こうも、メンバーが決まったのか、三人が肩を揃えて歩いてくるところだった。
ダム、ダム…と、杏が撥ね具合を確認するようにボールをその場で弾ませる。
 春原「なにか作戦を立てとく?」
 杏「陽平はブラインド役よ。常にボールと審判の間にいなさい」
 朋也「足を踏む時は踵を狙え。うまくいけば靴をぬがせれる」
 春原「…マジッすか?」
 杏「半分本気」
 朋也「半分冗談」
 春原「とりあえず没収試合なんてのは勘弁してよ」
 杏「善処するわ」
 朋也「まぁ、真面目にひとつ作戦を立てるか」
 杏「どんな?」
 朋也「一発強烈なのを決めるんだ」
 バスケ部員「おい、始めるぞ」
ピーッ!と、試合開始のホイッスルが鳴る。
その瞬間。

一人のバスケ部員が、地に倒れ付していた。

ちなみに、頭から血が水芸のようにぴゅー、と出ている。

あれ?本編にこんなの無かったよな……。
嫌な予感がした俺は、二階通路を見上げると……

渚改めゴルゴがいた。

手には愛用のライフル銃。


 杏「ホイッスルの音に紛れて眉間を一発……やるわね、あの娘

杏、おまえ冷静すぎ。

 春原「強烈なのって、これ?

断じて違う。

その後、ホイッスルが鳴らされるたびに何故かバスケ部員が次々と倒れていき、試合は不戦勝になった。

……って、試合前のあの感動的な前フリは何だったの!?

 杏「裏CLANNADの仕様よ

開き直るなよっ!!

裏CLANNAD 4月30日 終
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ひとこと:
すげぇ!!どうしたのこの更新ペース!?
と、書いてる本人がかなりビックリしてます。
こんなにモチベーション高いのって4年前に裏Kanon書いてたときぐらいかもしれません。
やっぱり、アクセス数とWeb拍手の伸びが効いてるのかも知れません。
そう考えると、このサイトに来てくれている人たちには感謝の言葉もありませんですよ。
これからも、よろしくおねがいしますっ。
さて、今回はバスケだったので、杏を緊急招集。
なんか、本編にも増して戦闘力上がってますけど、 仕 様 で す 。
渚もたくさんゴルゴが出来ましたし、そういう意味では満足でーす(ぇ)
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