裏CLANNAD 5月12日
翌日は、待ちに待った…
というのも子供っぽいが、ようやく恋人同士で過ごせる休日だった。
午後から、商店街へと繰り出して、羽を伸ばした。
演劇の達成感も手伝ってか、本当に子供のように、俺と渚ははしゃいだ。

 渚「だーだー、だー、あーうー、あー

って、ホントに幼児化してるっ!?


女の子向けのアクセサリーや小物が並ぶ店にも、初めて入った。
ゲーセンで、男の子向けのゲームを二人でプレイした。
無意味に、春原の部屋にも寄った。
あんたら幸せそうっすね!というツッコミが返ってきた。
予想通りで笑えた。
 朋也「ここまで、きたんだ。学校に寄ってかないか」
俺はそう提案してみた。
 渚「でも、学校閉まってると思います」
 朋也「なんとでもなるよ」
 渚「え、それは、いけないことだと思います」
 朋也「だからいいんじゃん。ドキドキして面白いと思うぜ」
 朋也「ほら、いこう」
 渚「あっ、待ってくださいっ」
先に、校門を乗り越える。

続いて、渚がレーザーで鍵を焼き切ろうとする。

普通に乗り越えてくれよ!!頼むから。


後からのぼってきた渚を抱きかかえ、地面に降ろす。
 渚「すみません、動きにくい服でして…」
すぐ目の前に渚の顔。
少し見つめ合った後、離れる。
 渚「すごくドキドキしてます」
 朋也「だろ」
その手を引く。
 朋也「いこう」


校内に忍び込むのもたやすかった。
探せば、どこかの鍵は開いているものなのだ。
俺たちは、演劇部の部室前まで来ていた。
 渚「入れますか」
 朋也「下、開いてる」
 渚「そこから潜り込むんですか」
 朋也「ああ」
 渚「服、汚れちゃいます」
 朋也「そんなのはたけばいいだろ?」
 渚「これは、その…ボディペイントでして…」

うわーお!!

何気にエロだよ!!

裏CLANNAD初エロだよ!!


ってか、服じゃない、服じゃないよ!!
それ以前に俺も気づけよ!!でもエロ最高!!


 渚「最高じゃないですっ」
ずがしっ!!
バールのようなもので思いっきり首をへし折られた。
つか、普通に服着てくれば問題ないじゃん。



息を整える。
しんとしていた。
こんな大きな建物の中にふたりきりでいる。
誰も立ち入れない場所。
大声をあげても誰にも届かない場所。
胸が高鳴る。
今まで、遊び回っていた場所とは違うんだ。
今、本当にふたりだけでいるんだ。
この閉ざされた場所に。
渚の横顔を見る。
まだ、不安なのだろうか。誰もいない廊下をドア越しに覗いていた。

 渚「軍服を着た、顔色が悪くて足の無い人が廊下に………

見るな。そっち絶対見るな。



俺の彼女…
乱暴に言ってしまえば、俺のもので…
他人がしたいと思ってもできないことでも、俺なら許されるんだ。
渚に片思いの奴め…うらやましいだろう。
いるかどうか知らないけどさ…。
いや、きっといる。こんなに可愛い奴、クラスにちょっとしかいない。
俺は寄っていって、そっとその背中を抱きしめた。
 渚「どうしましたか、朋也くん」
じっとしていてくれる。
誰も、こんなことできないんだ。俺だけなんだ。
その首筋に鼻を埋める。
渚のいい匂いに満たされる。
こっちを向かせて…キスしよう。
肩に置いた手に力を込める。
 渚「あ…」
俺の意図に気づく前に、渚が声をあげていた。
本当に誰か来たのか?
その視線の先を追ってみる。
…黒板だった。
 朋也「どうした」
 渚「あれ、なんですか」
 朋也「あれって?」
 渚「なにか書いてあります」
 渚「…わたしの名前です」
俺の手を振りきって、黒板の前まで歩いていく。
 渚「わたし、日直になってますっ」
 朋也「ああ、ずいぶん前の落書きだな、忘れてた」
 渚「朋也くんですかっ」
 朋也「ああ、そうだけど」
 渚「もう、こんなことしたらダメです」
渚は、チョークを手に持つ。
…チョーク?
渚は、自分の名前の隣に、何かを書き足す。
 渚「わたしひとりにしたら、ダメです」
…岡崎朋也。俺の名前だった。

………あれ、でも俺の名前の横に何か書いてある。

岡崎朋也(仮)

仮!?

 渚「正式名称はトモヤ・シルブプーレ・マルセイJrになります」

誰!?



学校から抜け出すと、もう日は暮れかかっていた。
長い影を伸ばして、並んで歩いた。
 渚「今、すごく幸せです」
 渚「いろんな人に分け与えてあげたいぐらいです…」
 渚「でも、身分不相応といいますか…」
 渚「わたしには、すごく贅沢なことです…」
 朋也「んなこといったら、俺だってそうだぞ」
 朋也「おまえみたいな彼女がいてくれるんだから…」
 朋也「…贅沢すぎるだろ」
ああ、俺はなんて恥ずかしいことを言ってるんだろう。
 渚「本当ですか」
 朋也「ああ」
付き合い始めてから、どれだけ時間が経っただろう。
付き合い始めた頃より、渚のことが好きになっていた。
 渚「ふたりが贅沢って思ってるなら…」
 渚「それはすごく恵まれたカップルです」
カップル…なんて、自分で言えるのだから、笑える。
そういうところも大好きだ。
 渚「相性バッチリです」
 渚「…えへへ」
自然と手を繋ぐ。
 朋也「………」
その手が、やけに熱かった。
 朋也「渚…?」
その顔を覗き込む。
 渚「はい…なんでしょうか」
夕日のせいか、顔は赤いままだ。
俺はそっと、その額に手を当てた。

シュバァーーーーーーーッ!!

渚の目から怪光線が

 朋也「渚…おまえ、熱あるんじゃないのか」

俺の反応、普通すぎ。



 朋也「どうでしたか、早苗さん」
 早苗「大丈夫ですよ。落ち着いてください」
 朋也「すみません…俺が無理させすぎたかもしれないです」
 早苗「そんなに恐縮しないでください。自分の彼女じゃないですか」
 朋也「え…知ってたんですか」
 早苗「わかりますよ、それぐらい。自分の娘ですから」
 朋也「至らない彼氏っす」
 早苗「そんなことないですよ」
 早苗「岡崎さん」
 朋也「はい」

 早苗「トモヤ・シルブプーレ・マルセイJrさんとお呼びしていいですか」

絶 対 に 止めてください

裏CLANNAD 5月12日 終
5月11日へ 5月13日へ
ひとこと:
渚は熱が出ると目から怪光線を出します。
裏CLANNADを見ている読者だけに教える極秘情報ですよ?(マテ)
ってか、深海ちんはピュアなのでエロ度の高い描写なんて書けません!!(ぇ)
渚のボディペイントについては皆さんの逞しい想像力にお任せしまーす、手屁ッ♪
裏CLANNAD-TOPへ SS一覧へ トップへ